レトリック 緩叙法 二重否定を使う
緩叙法とは、直接的な表現をするのではなく、その逆の意味の否定形を使うテクニックです。たとえば「嫌い」と表現するのではなく「好きではない」と表現する方法です。
この緩叙法の効果は、主に2つあります。
第一に、直接的な表現をオブラートに包む効果です。たとえば「何か良いアイデアはありますか?」という質問は、あまりにも直接的で、相手を萎縮させてしまうかもしれません。しかし「良いアイデア」を「検討の余地があるボツネタ」と緩叙法でレトリックを効かせると、印象が変わらないでしょうか?
「何か良いアイデアはありますか?」→「検討の余地がありそうなボツネタはありますか?」
第二に、緩叙法にはかえって言葉のニュアンスを強調する効果もあります。たとえば「私たちが取り組むべきミッションとは?」という質問は、非常に重みがありますが、文言が簡素で、軽く受け止められてしまう可能性があります。そこで緩叙法に「倒置法」も組み合わせて、以下のようにアレンジしてみます。
「私たちが取り組むべきミッションとは?」→「自分たちが取り組まないわけにはいかない、私たちのミッションとは?」
一見遠回しな言い方に見えますが、受け手の印象はだいぶ変わります。
レトリック 婉曲法 オブラートに包む
婉曲法は、露骨な表現を濁して、あえて曖昧に表現するテクニックです。たとえば「便所」を「化粧室」「お手洗」と表現する方法のことです。
一般的には、恐怖や不快感を強く与えるネガティブな言葉や、タブーである表現をぼやかすために使われます。チームのポテンシャルを引き出すために組み立てた質問に、強烈にネガティブな表現が混ざっていることは稀でしょう。
しかし、組織の役割や立場の違いによって、ある人にとって馴染みのある言葉が、別のある人にとってはネガティブな言葉に感じられる、ということが稀にあります。
たとえば、事業数値を管理している経営チームにとっては、「経営危機」「赤字」「倒産リスク」といった言葉は身近であるかもしれませんが、現場のメンバーからすると、自分の人生に脅威をもたらすような、恐ろしい言葉に感じられるかもしれません。
経営チームのミーティングのアジェンダは「AI時代の経営危機を打開するために、自社プロダクトにどんな新機能が必要か?」といったものでもよいかもしれませんが、現場チームのミーティングのアジェンダとしては、婉曲な表現にする必要があるでしょう。
「AI時代の経営危機を打開するために、自社プロダクトにどんな新機能が必要か?」
→「AI時代に適応するために、自社プロダクトにどんな新機能が必要か?」
他にもたとえば、人事担当者にとっては「落ちこぼれ社員のフォロー」という言葉は馴染みのある言葉かもしれませんが、事業担当者からするとギョッとする言葉です。
「リモートワークにおける落ちこぼれ社員のフォローをどうするか?」
→「リモートワークですべてのメンバーが輝けるためにはどんなフォローが必要か?」
問いかけによってチームの仲間を傷つける言葉になってしまっては、本末転倒です。投げかける前に、相手の視点に立って強すぎる言葉になっていないか、チェックしましょう。


