「隠れミッキー」が満たす人間の欲求

(2)自己効力感(Self-Efficacy):私は知っている、私が役に立っている

自己効力感とは、推し活における「私が支えている」「私が貢献した」「私は特別なことを知っている」という感覚です。

清水群『1割の顧客で9割売り上げる「沼るファン」のつくり方』(かんき出版)
清水群『1割の顧客で9割売り上げる「沼るファン」のつくり方』(かんき出版)

ディズニーランドの「隠れミッキー」や「BGS(バックグラウンドストーリー)」の発見もその1つです。隠れミッキーとは、パーク内の壁や地面に隠されたミッキーマウスの形をした模様です。BGSとは、例えば「この窓にはこんな物語がある」という秘密のストーリーです。これらを見つけたときに、ゲストは「この秘密を知っているのはごく少数のファンだけ」という優越感を抱くのです。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのスーパー・ニンテンドー・ワールドで使用する「パワーアップバンド」もそうです。このバンドを購入すると、ゲストのアクションがゲームの点数として反映されます。

自分の点数によってチームが勝利した場合には、「私が頑張ったから勝てた」という強烈な貢献感を味わえます。

「自己効力感」を刺激するのが、「ゲスト側の狂気的なこだわり」です。企業が仕込んだ「こだわり」をゲストが発見することで、彼らは自信と優越感を深め、沼にはまっていくのです。

「私もやりたい」が推し活のエネルギーに

(3)自発性(Spontaneity):やらされるのではなく、やりたくて動く

自発性とは、企業が提供する楽しみ方だけでなく、自分なりの楽しみ方を見つけ、能動的に動くことです。これが推し活のエネルギー源になります。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのハロウィーンイベント「ゾンビ・デ・ダンス」では、ゲストが動画を見て振り付けを覚えて、会場で一緒に踊ります。参加するために事前の自発的な努力を行うのです。時間と労力をかけた分、当日の熱狂が大きくなります。そして、次回も参加しようと思います。抜け出せなくなるのです。

「隠れミッキー」を見つけたゲストは、ほかにもあるのではないかとまた探し始めます。「こだわり」を数多く用意することで、自発性を刺激するのです。

つながり・自己効力感・自発性という3つの心理スイッチを押すことで、企業は沼るファンを増やすことができます。そのためには、「誰でもできる」ことを完璧に実行するだけでなく、「誰もやらない」領域に経営資源を効果的に投下することが重要です。

「誰もやらない」領域、あなたはその領域に経営資源を投下できますか?

【関連記事】
新大阪駅から15分なのに巨大廃墟がそびえる…「消えた終着駅」が映し出す昭和のニュータウンの栄枯盛衰
地方衰退の一番の原因は「人口減少」ではない…山口の超富裕層が「住民税43億円」をまるっと抱えて移住した理由
「日本円の紙くず化」へのカウントダウンが始まった…高市首相が狙う「借金1342兆円を帳消しにする」禁断の処方箋
手作り弁当550円、おにぎりは今でも110円…セブン、ローソンがマネできない吉祥寺「個人コンビニ」の地味な戦略
中野信子「努力できるかどうかは"生まれ"でほぼ決まる」…人生の成功を左右する"遺伝"の残酷な真実