お金持ちが中国脱出し始めた理由

最近、中国国内で「潤日」という言葉が流行っていると言われます。「潤」には、もともと「儲ける」という意味がありますが、これは中国語におけるローマ字表記で「run」と書き、英語で言う「走る」「逃げる」を連想させます。「日」は「日本」を表します。つまり、この2つの語を掛け合わせて「日本に逃げる」という意味で広まった言葉なのです。

空港でのフライトを待っている幸せな旅行者
写真=iStock.com/anyaberkut
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この言葉は、コロナ禍前の2018年頃から使われるようになったそうですが、顕著になったのはコロナ禍以降のことです。中国経済の減速が鮮明になったのは、コロナ禍が発生した2020年以降と言われます。潤日は中国経済の減速と関係がありそうです。

中国政府は、コロナ対策としてロックダウンをともなうゼロ・コロナ政策を掲げ、国民に対して外出を禁じ、自宅や施設での隔離を求めました。同時に、飲食店やスーパーマーケットなどのライフラインを停止して、感染の拡大を防ごうとしました。その結果、中小企業を中心に数百万社が倒産。若者の失業率が高くなり、中国経済のデフレ化が始まりました。

いっぽうで、過熱する不動産マーケットに対しては、2020年に不動産開発業者による資金調達および不動産業向けの金融機関融資に対して規制を実施した結果、2021年以降不動産価格が急落します。

大手不動産開発業者・恒大集団の経営破綻、国有企業の深圳地鉄(深圳メトロ)を最大株主とする不動産会社・万科企業の経営危機が表面化するなど、深刻な不動産不況を招いています。中国不動産バブルの崩壊です。

企業の「中国離れ」、言論統制の強化

中国経済の不調は、米中対立もその一因となっています。半導体製造分野においては、台湾の半導体製造企業であるTSMC(台湾積体電路製造)が日本やアメリカに工場進出。アメリカは日本のラピダス社にIBMの最新鋭半導体技術である2nmのプロセス技術を導入、中国包囲網を構築し始めています。

中国に進出していた日本の製造業各社も、「中国リスク」を分散させる目的で、東南アジアなど周辺諸国に工場を移転。中国離れが加速しています。

さらに、中国国内では反スパイ防止法の改正などで、中国政府に反する言動などについての取り締まりが厳格になり、富裕層などの間で、自身の資産保持について不安を覚える人たちが急速に増えたのです。アリババ・アントグループ創業者の馬雲(ジャック・マー)氏が国家分裂や政権転覆を扇動した容疑で捜査を受けているなどといった報道は、富裕層の将来に対する不安を大いに煽るものとなりました。