何があっても動じない「温厚な人」は、どう自分の機嫌を取っているのか。プレッシャーを跳ね除け成果を出す4人に、自分を大切にする方法を聞いた。
エッセイスト 松浦弥太郎
罰金8000円も「必要な驚き」 不運を感謝に変える旅の習慣

機嫌よく見られるのは旅がくれる驚きのおかげ

毎年、4月と10月の2回、僕はパリにアパルトマンを借りて、20日間ほどを過ごします。年に2〜3回は長めの旅に出るのが僕の長年の習慣で、1年のうち都合1カ月半ほどは旅先で過ごしていることになります。

朝には近所の市場へ出かけて、その日に食べたいものを選び、部屋に戻って自炊します。観光名所をめぐるでもなく、決まった予定をこなすでもなく、ただそこで暮らすように日々を過ごす。旅というより、生活の場所をしばらくのあいだ移している。僕の旅は、いつもそんなふうに始まります。

市場を歩くと、名前も知らない魚や野菜が並んでいます。味の見当もつかない食材に、その日の気分で手が伸びる。好奇心で買って帰りキッチンで煮たり焼いたりしてみると、思いがけず美味しかったり、どうにもならなかったり。そうした小さな成功や失敗に、驚きや幸せを感じるのです。

(構成=渡辺一朗 撮影=市来朋久 写真提供=トゥミジャパン(スーツケース))