何があっても動じない「温厚な人」は、どう自分の機嫌を取っているのか。プレッシャーを跳ね除け成果を出す4人に、自分を大切にする方法を聞いた。
作家 村山由佳
繕った笑顔は猫にバレる だから心から機嫌よくいる

守るつもりだった存在に自分が守られていた

物心ついたころから実家には猫と犬がいましたが、中でも猫が人生において欠かせない存在になったのは、一人暮らしを始めてからでした。

一度目の結婚後に鴨川に住んでいたときには、実家で母に処分されかけた子猫2匹を夫には「住み着いてしまった」と嘘をついて、連れてきて床下で飼っていました。当時の夫は元々、猫が苦手だったためです。その1匹「こばん」が子猫の「真珠」を産み、家の中に入れるようになると、さらに「真珠」が子猫を4匹産み、家の中に複数の猫がいる暮らしが始まりました。

数年後、私は鴨川の家から“出奔”しました。当時の夫も猫をかわいがるようになっていたものの、春夏秋冬にちなんで名づけた「かすみ」「むぎ」「もみじ」「つらら」の4匹のうち、三毛の「もみじ」だけは私にしか懐かなかった。「必ず連れに帰るから、待っていて」と言って、東京でペット可の物件を探し、迎えに行ったのはひと月後。「もみじ」は私に飛びついてきました。足元にすがりついて鳴き、ジーンズに爪を立てて必死に肩までよじ登ってきた姿は今も忘れられません。

(構成=梶原麻衣子 撮影=大槻純一(村山氏))