夫婦相談のほとんどが伝わらない「不機嫌」
これまで3000組を超える夫婦と向き合ってきましたが、そのほとんどが何らかの「不機嫌」を抱えています。
一番多いのは、夫婦のコミュニケーションがかみ合わず、「伝わらないこと」にお互いが不満を抱えているパターン。よく言われる話ですが、男性は問題解決型の思考、女性は共感型の思考をすることが多い。妻はその日にあったことをただ聞いてほしいだけなのに、夫はつい「だったらこうすればいい」とアドバイスをしてしまうのです。
すると妻は「全然話を聞いてくれない」と不満を感じます。ところが、よかれと思ってアドバイスした夫は、なぜ妻が不機嫌になったのか理解できず、困惑します。そして、そんな妻に対して、夫も不機嫌な態度で返すようになっていく。これは、どこの家庭でも起こりうる定番の構図です。
しかし、この状況を放置して「話を聞いてほしいときに聞いてもらえない」状態が続けば、妻は話しかけることをやめてしまいます。「どうせ言ったって聞いてくれない。話すだけムダ」と諦めるわけです。すると、夫はある意味「ラク」になります。「愚痴を聞かなくてよくなった」「静かになった」と考えて、その状態のまま、平気で10〜20年くらい過ごしてしまう。
問題はそれからです。あるとき夫は、ふと違和感に気付きます。どうも妻が冷たい、夜に誘っても応えてくれない。そうして初めて「様子がおかしい」と慌て始めるわけです。
そこで夫が「どうした、何かあった?」と聞いても、妻からすれば「いまさら何?」という話。もう完全に夫を見放しているので、怒りすらわかない状態です。夫が問題意識を持ったときには、妻は子どもが独立した後の離婚や、気ままな一人暮らしを夢見ている。この時間差が問題なんです。
この時点で、立て直すことはかなり難しくなっています。妻側はもう「夫に期待していない」状態ですから、夫婦仲を改善しようという気持ちがない。とにかく夫が心を入れ替えて誠意を見せるほかありませんが、どんなに頑張ったとしても妻の気持ちが戻るとは限りません。心が折れた相手を振り向かせるのは本当に時間がかかるのです。
きっかけは些細でもその裏には不満が山積み
これは夫婦のコミュニケーション不全から起こる不機嫌ですが、子育て中の妻のイライラも、相談テーマとしてはとても多いです。
子育ての負荷はどうしても妻側に偏りがちです。幼いうちは世話にかかりきりで、成長すれば教育や受験で悩まされる。その負担の重さに理解も感謝もしない夫に対して、妻は不満を通り越して、絶望してしまうのです。
そこへ夫が「洗い物、できてないじゃん」「いつ部屋は片付くの?」なんて言ったりすると、それがきっかけで大爆発してしまうわけです。夫からすると「ちょっと言っただけなのに、なんでそんなに怒るの?」と困惑しますが、妻の不満の大半はそこにありません。何年ぶんもたまりにたまっていたものが限界に達して、最後にあふれさせたのがその一言だったというだけです。
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