片づけなければいけないとは思っている。キレイになれば機嫌がよくなるだろうことも知っているが……。どうすれば最初の一歩を踏み出せるのか。これまで1万人以上を指導してきたプロに聞いた。

まずは冷蔵庫から 5分で得る自己肯定感

部屋が片づくと、人は機嫌がよくなるものですか? そう聞かれたら、私は自信を持って「はい」と答えます。これまで片づけに悩む1万人を超える人と接してきましたが、多くの人から部屋が片づいていると気分がよく、反対に散らかっていると不機嫌になるという声を聞きました。

西﨑彩智さん
西﨑彩智 Sachi Nishizaki
1967年生まれ。Homeport代表取締役。ヨガスタジオの店長時代、さまざまな相談に応じた経験をもとに、得意の片づけを生かして2015年に起業。お片づけ習慣化コンサルタントとして、1万人以上に指導をしてきた。著書に『時間とお金にゆとりが生まれる 貯まる片づけ』(プレジデント社)など。

例えば、私の会社で行った調査では、片づけ前の気持ちや感情として多かったのが、順に「イライラしていた」「自信がなかった」「やる気が出なかった」。一方、片づけた後の気持ちや感情の変化を尋ねると、多い順に「気持ちが穏やかになった」「自分を大切にしようと思った」「前向きになった」という結果が出ました。

なぜかというと、人は誰もが、片づけなくてはいけないと思っているからです。私も、仕事が忙しくなると部屋が雑然とすることもあります。畳まなくてはいけない洗濯物、洗わなくてはいけないコップ、封を開けなければいけない郵便物など、自分がやるべきタスクが、目の前にどんどん積み重なっていくのです。

なのに自分はそのタスクをこなせていない。「できていない自分」を責める気持ちが追いかけてきて、あれもできない、これもできないというネガティブな思いが溜まり、無意識に自分につけた×も増えていきます。

こんな状態では、不機嫌の種は大きく膨らんでいくばかり。一度このような状態になると、負のスパイラルに突入。あっという間に容易に片づけられる状態ではなくなります。

この状態から脱出するためにも、どこか1カ所、片づけてみましょう。1カ所「完了」させ、生まれ変わったその場所を見てください。達成感と、自分を褒めてあげたい自己肯定感に包まれるはずです。

人に頼まずに、自分の手で片づけることが原則です。自分の力でやるからこそ、自己肯定感につながるからです。

片づければ気持ちが上がる 自分の気持ちや感情面の満足度比較

考えてみれば、日常生活でこのような感情を体験できる機会は意外に少ないもの。ダイエットや運動は、どれだけ頑張っても成果が出るまで時間がかかります。でも片づけは違います。目の前に散乱したものを5分か10分で片づけるだけで、目に見える劇的な変化が起こるのです。

では片づけを始めようと決意したら、どこから手をつけるべきでしょうか。まずキッチンから手をつけることをおすすめしています。なかでも、冷蔵庫と食材置き場から始めるのがいい。なぜなら賞味期限という動かせない数字が必ず書かれているからです。

多くの人は、いらない物を捨ててすっきりしたい気持ちはあるものの、「あとで使うことがあるのでは?」とか、「思い出の品なのに」とか、さまざまな言い訳で結局捨てられず、元の場所に戻したりする。でも賞味期限という根拠が書いてあれば、捨てる、捨てないの決断も素早くできるのです。

(構成=福光 恵 図版作成=大橋昭一)