男性もホルモンの減少で精神・身体・性的不調に
「最近、常にイライラしてしまう」
はっきりとした理由はわからないけれど、すぐに苛立ってしまったり、逆に気分が沈むこともある……その原因の一つに、ホルモン分泌量の減少があげられる。医学博士で産婦人科専門医の高尾美穂氏は、「加齢によりホルモン分泌量が減少すると、体や心に不調を感じることがある」と言う。いわゆる、更年期障害だ。
「女性の場合、更年期とは、閉経の前後の約10年を指します。この時期に入ると卵巣機能が低下して女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌量が減少する。これが、女性の心身に大きな変化をもたらすのです」(高尾氏)
一方、月経のない男性でもホルモン低下の影響を受ける。順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学主任教授の井手久満氏が語る。
「男性ホルモンであるテストステロンの分泌量は20代をピークに減少し、不足すると精神、身体、性的に不調をきたすことがある。この状態を、男性更年期障害と呼ぶ。テストステロンの受容体は、脳の認知機能や感情を司る海馬に多く存在しているため、ホルモンが急激に減少すると、『やる気が出ない』『ぐっすり寝た気がしない』『集中力が保てない』といった精神的症状を引き起こすこともわかっています」
実際に、テストステロンの増減による心の変化を調査した結果もある。
「男性更年期障害の治療でテストステロンを補充した患者のAMSスコア(男性更年期障害チェックシート)を見ると、補充後に精神的症状が改善しているケースが多々あります」(井手氏)
低下したホルモンを補うためには、生活習慣を整えることが大切だ。規則的で健康的な生活を心がけ、良質な睡眠をとることが重要。そして、バランスのよい食生活は低下したホルモンを補うことができる。男性はテストステロンを増やす食品を摂る。女性は減少したエストロゲンを補い、同様の働きを促す食品を摂ること。日々の食事を工夫することで、なんとなくのイライラを抑え、機嫌のいい毎日を過ごすことができる。機嫌がよくなる男性の食事法を井手氏に、女性の食事法を高尾氏に、それぞれ聞いた。
「機嫌が悪い男性」を改善する地中海食のコツ
井手氏によると、男性ホルモンのテストステロンを増やすためにお勧めの食事は「地中海食」とのこと。地中海食とは、オリーブオイルやナッツなどに含まれるビタミンD、青魚などに含まれるオメガ3脂肪酸、牡蠣などに含まれる亜鉛など、テストステロンの分泌を促進する栄養素が揃った食事のことだ。
順天堂大学大学院医学研究科泌尿器科学主任教授。1991年宮崎大学医学部卒。米国UCLAハワードヒューズ研究所、獨協医科大学教授などを経て現職。ロボット手術、男性更年期に対するアンチエイジングなど、幅広い診療内容を専門とする。
また、65名を対象に実施した研究では、食事を地中海食に替えて2年間続けた人のEDスコア(国際勃起機能スコア)が改善したという結果が出ている。井手氏は、「ED(勃起不全)で自信喪失すると、やる気のなさや機嫌の悪さ、自暴自棄や苛立ちなどメンタルの不調につながります。そういった側面からも地中海食は心の健康に有効といえます」と、地中海食を勧める。
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