午前中の活動が狂った体内時計を戻すカギ

「体内時計を戻すには、寝起きの時間を整えることが重要です」(川野氏)

具体的には、①少しずつ起きる時間を早くする方法と②一晩眠らずに一気に逆転する方法があるという。

夜更かしが習慣になっていると、いきなり「明日は朝6時に起きよう」としても難しい。その場合には、いったん6時に起きて10分ぐらい朝日を浴びてから二度寝する。それでも早朝の朝日を浴びていることから、体内時計を整える効果がある。「二度寝してもいい」と思えば、早起きも苦にならないだろう。

それほど眠くなければ、そのまま起きてしまい、昼寝をしてもいい。ただし、昼寝は15時までに1時間以内に抑えたほうがいい。そうしないと、夜の睡眠を妨げてしまい逆効果になる。

ひどい夜型になっていて、昼夜が逆転するような生活をしている人の場合には、一晩眠らずに我慢して、翌日にきちんとした時間に眠る方法も効果的という。これで一気に生活リズムが戻る可能性がある。

「1日くらい眠らなくても健康を大きく害することはありませんし、仕事のパフォーマンスもそれほど変わりませんから、安心してチャレンジしてください」(同)。眠さにまかせて日中に毎日眠っていては、いつまで経っても生活リズムは改善できない。思い切って試してみる必要がある。

川野氏は「モメンタム」にも注目しているという。これは自律神経を整える方法にもつながるが、日中は自分自身の心を活性化させてアクティブにしておくことで、夜にはそのギャップで眠りやすくする方法だ。

「眠れない患者さんに勧めているのは、午前中にドラムやパーカッションを叩くことです」(同)

【図表2】朝に“勢い”をつけることで夜になるほど疲れるリズムをつくる

楽器をやらない人には難しいだろうから、アップテンポの音楽を聴くだけでも効果があるという。音楽に合わせて体を動かせば、モメンタムハイの状態になる。これなら、出かける支度をしながらでも実践できそうだ。