ハローマックの撤退後の大転換

ハローマックの大量出店、チヨダのコングロマリット構想――。

1980~90年代にかけて、多業種を展開してきたチヨダだが、2026年現在は「靴一本での経営体制」に移行している。業績を見れば、最盛期に2000億円近くあった売上高は、2026年2月期には約813億円に。ハローマックに限らず、チヨダは収益を圧迫するブランドを整理し、屋台骨である「東京靴流通センター」など靴事業を残した形と言える。

こうしたポートフォリオの転換を見ると、いかに現在の市場環境が厳しく、「選択と集中」が不可欠かが窺える。

「ハローマックから学んだことは、価格決定権も流通量もコントロールできるPBに注力して、収益構造を筋肉質に保つことです。

以前はハローマックのように現場で仕入れを行い、棚にも各店長が売りたい商材を並べていましたが、現在はオペレーション化を徹底。決められた商材を、全国展開して原価を抑え、実店舗とECをシームレスにつなぐ戦略を敷いている。今ではPBが全商品の40~45%を占めています」(安立氏)

プライベートブランド「スパットシューズ」
画像提供=株式会社チヨダ
プライベートブランド商品「スパットシューズ」。ハローマックの教訓が生かされているという

靴事業の中でも、主力商品として位置付けられているのが、PB(プライベートブランド)商品である「スパットシューズ」だ。“立ったままスパッと履ける”ハンズフリーを売りに、シリーズ累計販売足数500万足を超える(2022年3月~2026年2月販売実績)。さらに目下、チヨダで伸長しているのがEC事業だ。2022年2月期には売上高10億円に満たなかった中、2026年2月期には実績36億円にまで伸長している。

「今なら、都心部か、郊外でもショッピングセンター内にしか出店しない」

また、出店エリアも「今はロードサイドに出す選択肢はない」と、かつての方針を一蹴する。

「今であれば、人口集積地の都心部か、郊外でもショッピングセンター内にしか出さないでしょうね。地方も人口減少が加速しており、ECの構成比も上がっているので、商圏が少ないエリアの開拓は現実的ではないかなと。ご存じの通り、建築費や原材料費など、あらゆる資材が高騰している。かつての100坪規模よりは、小回りの利くビジネスが求められる時代ですね」(安立氏)

改めて、チヨダの変遷や経営戦略を振り返ると、平成当時から現在にかけて、大きな構造変化が起きていることが分かる。

1990年前後は、①ロードサイドの大箱を大量出店、②ブランドや事業の多角化、③豊富な商材の展開、④実店舗を基盤にしたコングロマリット戦略。主にチヨダはこの4点を戦略としていた。

それが現在は、①モール内の一テナントとして展開、②靴事業への単一化、③売れ筋であるPB商品の主軸化、④EC事業の伸長。このように様変わりしている。

かつてハローマックに代わり、玩具業界の勢力図を塗り替えたトイザらスも、2020年から5期連続で赤字を記録している。不調の要因として、AmazonなどECの台頭や、体験型店舗の価値の低下が指摘されており、それだけ業界の栄枯盛衰が激しいことを物語っているように映る。