「テレビの捏造問題」で、またもや沈む

ところが、である。

順調に回復をはじめた2007年、またもや翼が折れる。

かつて村上農園を押し上げた「発掘!あるある大事典」が捏造問題で打ち切りになり、健康情報番組そのものが自粛ムードになったのだ。加えて、健康を謳う野菜にまで疑いが向けられるように……。そこにリーマンショックが追い打ちをかけ、売り上げは44億円から29億円に落ち込んだ。

だがここでも村上さんは、逆風のなかにチャンスを見いだす。

天候異変で露地野菜が高騰し、「安くて安定した野菜」へのニーズが高まっていることに目を付けたのだ。そして、量販店のバイヤーにこう持ちかけた。

「豆苗を、ほうれん草とか小松菜の隣に置いてください。そちらの方が売れますよ。他の葉物が高騰した時にも、豆苗で代替ができるじゃないですか」

この一言で、豆苗は「スプラウトの仲間」から「緑黄色野菜」に変わった。

売り場転向は大きく当たり、豆苗の緑黄色野菜に占めるシェアは急拡大。2009年の0.6%から、2025年では5%に伸びている。

2011年には、山梨県北杜市に、15億円を投じて日本最大の豆苗専用植物工場を建設。それがNHK「おはよう日本」で紹介されると量販店からの引き合いが殺到した。また健康情報番組の復活で、ブロッコリー スーパースプラウトも再び成長、2019年、売上高は107億円を突破した。

提供=村上農園 豆苗専用植物工場「山梨北杜生産センター」(山梨県北杜市)。ハウスは、コンピュータ制御で生産を自動化。省力化を実現している。
提供=村上農園
豆苗専用植物工場「山梨北杜生産センター」(山梨県北杜市)。ハウスは、コンピュータ制御で生産を自動化。省力化を実現している。

そしてやってきた4度目の谷

これで、事業は盤石か。

そう思った矢先、4度目の危機が訪れる。

新型コロナウイルスの蔓延だ。

2021年の売上高は、外食ニーズの激減を受け、93億2900万円まで落ち込んだ。

しかし村上さんは歩みを止めなかった。

コロナ禍真っ最中の2021年、35億円を投じて山梨県北杜市に「スーパースプラウトファクトリー」を建設。2023年には、宮城県にも新拠点を開いた。

【図表2】全国生産拠点
北は北海道から、南は沖縄まで、全国に13の生産拠点を構えている。(提供=村上農園)

「落ちているからもうこれはやめよう、あれもやめようとなってしまうと、次にニーズが増えた時の対応ができなくなります。将来的に拡大する可能性が十分にあるのなら、やるべきことは続けていこうと」

その判断は正しかった。

コロナ禍を抜けた2024年、売上高は113億7600万円に跳ね上がった。