アメリカからの知らせ

そこから遡って1997年、反撃のさなかにいた村上さんのもとに、1本の知らせが届いていた。村上農園が債務超過寸前でカイワレの売り上げが底を打った、まさにその年である。

アメリカ・オレゴン州に持っていた、種子を生産する関連会社から入った情報だった。

内容は、ジョンズ・ホプキンス大学のポール・タラレー博士が、ブロッコリーの発芽3日目の新芽にがん予防に有効な成分「スルフォラファン」が高濃度に含まれていることを発見した、というものだ。

知らせを受けて村上さんと先代の秋人さんはアメリカに飛び、タラレー博士と面談。粘り強く交渉を続けた結果、最初の門前払いから一転、奇跡的に、日本国内の独占ライセンス契約獲得に成功する。大手企業との競合もあったが、それまでの発芽野菜の生産ノウハウと、全国に生産拠点を持つことが決め手になった。

1999年、村上さんはこのブロッコリーの新芽を「ブロッコリースプラウト(現在の『ブロッコリースプラウト200』)」と名付け、販売を開始した。英名にしたのは、「低価格のカイワレとは異なる価値のもの」と印象付けるためだった。

さらに2001年には、スルフォラファンを成熟したブロッコリーの20倍含む「ブロッコリー スーパースプラウト」の生産もスタート。人工光型の植物工場を新たに建設し、温度・光量・衛生管理を徹底した専用施設で栽培する体制を整えた。

山梨県北杜市にある、ブロッコリースーパースプラウトファクトリー。国内最大規模の完全人工光型植物工場だ。
提供=村上農園
山梨県北杜市にある、スーパースプラウトファクトリー。国内最大規模の完全人工光型植物工場だ。

そして世間が「発掘!」した

すると、すぐに人気に火がついた。

きっかけはテレビだ。

2001年11月、フジテレビ系の情報番組「発掘!あるある大事典」でブロッコリー スーパースプラウトが「がん予防の最終兵器」として紹介されたのだ。当時、視聴率20%超を誇った日曜夜の人気番組の効果は絶大だった。

放送の翌年、村上農園の売上高は21億1200万円から36億1500万円に跳ね上がった。

「こんなやり方があるんだ、っていうのがようやくそこで分かりまして」

テレビの効果を実感した村上さんは、2002年から、「ブロッコリースプラウトは機能性を備えたスーパーフードである」「食生活を考えることは健康を考えること」などと謳ったテレビCMを次々に制作。

メディアへの広報活動とともに、新聞広告や、消費者の目に留まる売り場づくりにも力を入れはじめる。

こうしてブロッコリースプラウトの認知は一気に広がり、売上高は2005年、44億円を超える。

カイワレ専業時代の2倍の規模に成長した。