複雑に絡み合う警察内の人間関係

特命係という設定は、バディものであることを強調するためだけでなく、警察ドラマとしての「相棒」を成立させるための要でもある。

「相棒」には、警察組織におけるさまざまな職務と肩書きを持つ人物が登場する。警視総監や警視庁副総監のような警視庁の上層部はもちろん、長官をはじめ警察庁のお偉方も登場する。

だが特命係の2人は警察組織の事情に影響されることなく独断で捜査を進め、そうした上層部の人間から組織に逆らう者としてしばしば厄介者扱いされ、時には敵視さえされる。右京らが上層部の会議に呼び出され尋問・処分される場面もおなじみだ。

一方で、特命係を支えてくれる人間もいる。内閣情報官である社美彌子(仲間由紀恵)や3代目相棒・甲斐享(成宮寛貴)の実父で警察庁の幹部でもある甲斐峯秋(石坂浩二)などが代表格だ。

ただ彼らにも警察組織内の自らの立場をめぐる思惑があり、ただの親切心から協力しているわけではない。そのような存在との駆け引きもまた、従来の刑事ドラマにはなかった「相棒」ならではの見どころになっている。

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「相棒」の最大のキーパーソンは誰か

なかでも、警察ドラマとしての「相棒」における最大のキーパーソンだったのが、警察庁長官官房室長、通称「官房長」の小野田公顕(岸部一徳)である。

小野田は、かつて起こった外交官人質事件の際に緊急で編成された対策チームにおいて右京の上司だった。

そしてそのときの作戦の失敗の責任を取らされるかたちで、右京は特命係に「島流し」されたという経緯がある。要するに小野田は右京にとって因縁の相手であり、右京からすれば恨みを抱いてもおかしくない。

そうなった経緯としては、正義をめぐる考えかたの決定的な違いがある。右京と小野田の正義は互いに相容れない。

右京の正義は、先述したようにある意味シンプルだ。相手がどんなに社会的地位や権力があっても関係ない。また相手にどんな情状酌量の余地があったとしても関係ない。

罪を犯したという事実があれば、定められた法律に則って償わなければならない。相手にやむを得ない事情がある場合は、優しく諭すような態度になることもある。だが「罪は罪」という姿勢は一貫して崩さない。