糖尿病や肥満を防ぐ「ワカメ」

フコイダンは、さらにeNOS(Endothelial Nitric Oxide Synthase:内皮一酸化窒素合成酵素)活性化とAkt(セリンス/レオニンキナーゼ)のリン酸化によりNO(一酸化窒素)の産生をもたらします。

これらのフコイダンの作用は細動脈硬化の進展を予防し、血管内皮作用を保つため、血管を健全に維持することになります。その結果、高血圧の予防や治療、動脈硬化の予防に役立ちます。

フコキサンチン:フコキサンチンはワカメなどの褐藻に多く含まれ、カロテノイドキサントフィルというカロテノイドの一種であり、抗糖尿病作用、高肥満作用、抗酸化作用、抗炎症作用、抗アポトーシス作用、血管内膜保護作用、中性脂肪低下作用、善玉コレステロール増加作用、神経障害軽減作用などがあるとされています。

アスタキサンチン:アスタキサンチンはヘマトコッカス藻という緑藻に含まれ、カロテノイドの一種で、抗酸化作用、抗炎症作用、悪玉コレステロール低下作用、善玉コレステロール増加作用、中性脂肪低下作用、血管内皮保護作用、血圧低下作用、抗血栓作用などの効果があります。

フロロタンニン:フロロタンニンはアラメなどの褐藻に含まれ、ポリフェノールの一種で、血管内皮細胞保護作用、血管平滑筋増殖抑制作用、血小板凝集抑制作用などがあります。

毎日の海藻摂取で心臓のトラブルを回避

日本において、コンブやワカメなどの海藻を摂取することが長寿と脳心腎疾患リスク低下の一因となっていると考える風潮があります。しかし、海藻摂取と脳心腎疾患との関係を解明している疫学的な臨床研究はそれほど多くはなく、わずかに報告されているのみです。

研究室でノートパソコンを操作する女性
写真=iStock.com/Jacob Wackerhausen
※写真はイメージです

以下に、今までに報告されている疫学的臨床研究の結果を発表された年代順に述べていきます。

日本において、8万6113名(男性4万707名、女性4万5406名)を対象にして、4年間の経過観察を行ったJapan Public Health Center–based Prospective (JPHC) Study において、自己管理型アンケートによる食事摂取頻度調査が行われ、海藻の摂取頻度と脳卒中、虚血性心疾患のリスクとの関係が調べられました。

その結果、海藻を摂取しない群に比較して、ほぼ毎日海藻を摂取している群は、男性では、虚血性心疾患のリスクが24%の低下、全心血管疾患では12%の低下を示し、女性では、虚血性心疾患のリスクが44%の低下、全心血管疾患では11%の低下を示しました。しかし、男女ともに、全脳卒中や脳卒中のタイプにおいては差を認めませんでした※2

※2 Murai U et al. Seaweed intake and risk of cardiovascular disease: the Japan Public Health Center-based Prospective (JPHC) study. Am J Clin Nutr 110: 1449-1455, 2019