※本稿は、湊口信也『果物野菜で100歳を生きる』(さくら舎)の一部を再編集したものです。
果物・野菜を食べると血圧が下がるしくみ
果物野菜の摂取が血圧を低下させるしくみの一つとして考えられているのは、果物野菜がカリウムを多く含むことです※1。摂取した果物野菜からカリウムが吸収されて血液中にカリウムが入りますが、血中カリウム濃度が増加すると、体は細胞の中にカリウムを取り込みます。
※1 Mente A et al. Urinary potassium is a clinically useful test to detect a poor quality diet. J Nutr 139: 743-749, 2009
その際、細胞内のカリウムが増加すると細胞内のナトリウムがナトリウム-カリウム交換作用によって細胞内から血液中にナトリウムが放出されます。血液中のナトリウム濃度が増えると腎臓でのナトリウムの再吸収が抑制され、尿中へのナトリウムの放出とともに利尿により血圧が下がります。
腎臓でナトリウムとカリウムの調節を行っているのは、ナトリウム-クロライド交換輸送体というイオン輸送体であり、ナトリウム-クロライド交換輸送体が活性化するとナトリウムを体にため込み血圧が上昇し、逆にナトリウム-クロライド交換輸送体の働きを抑えるとナトリウムが体外に出ていくことで血圧低下が認められます。
また、ナトリウム-クロライド交換輸送体の働きが抑えられると、尿中にカリウムをたくさん排泄することができます。カリウムをたくさん摂取すると、尿中にカリウムを排泄するためにナトリウム-クロライド交換輸送体の働きが抑えられ、その結果、ナトリウムの再吸収が抑制され、結果としてナトリウムが排泄されることから、血圧が低下します。
高血圧を撃退するカリウムが豊富な食材
つまり、果物野菜摂取によってカリウムを摂取すると、体内のナトリウムを体外に排泄するため、減塩と同じ効果が得られ血圧を低下させることができると考えられています。また、カリウムには交感神経の活動を抑制する働きがあります。
交感神経が亢進すると血圧が上昇しますが、交感神経が抑制されると副交感神経が優位になり、心拍数が下がり、血管が拡張して血圧が低下していきます。
カリウムは果物野菜、海藻類などに豊富に存在するため、生で食べられるものは生で、調理する際は煮物であれば煮汁ごと食べるようにすることがおすすめです。カリウムの含有量が特に多い果物は、アボカド、キウイフルーツ、バナナ、露地メロン、さくらんぼ、リンゴ、ナシ、柿などです。
また、乾燥させた果物でも、きはだ(実)、くこ(実)、乾燥あんず、乾燥バナナ、ドライマンゴーなどはカリウムが豊富です。野菜は、パセリ、ブロッコリー、ホウレン草、えだまめ、春菊、ニンジンなどが挙げられます。
また、乾燥させた野菜でも、干しずいき、切り干しダイコン、ドライトマト、干しわらび、干し唐辛子などもカリウムが豊富です。高血圧管理・治療ガイドライン2025には、高血圧症の非薬物治療として、果物野菜を摂取すると血圧が低下することが記載されていますが、これら果物野菜を摂取すれば降圧をはかることができることになります。

