9万人の食事と死亡リスクを調べてみると…
さらに、9万6215名(男性4万234名、女性5万5981名)(40~79歳)を対象に2年間経過観察した Japan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer Risk (JACC study)において、自己管理型アンケートによる食事頻度調査が行われ、海藻の摂取頻度と心血管病(脳卒中、冠動脈疾患)による死亡リスクとの関係が調べられました。
その結果、男性では、海藻を摂取しない群に比較して、ほぼ毎日海藻を摂取している群では、全心血管病による死亡は28%減少し、脳卒中による死亡は30%減少し、脳梗塞による死亡は31%減少していました。女性では、全心血管病による死亡が28%の減少、全脳卒中による死亡が30%減少していました。
しかし、男女ともに、脳出血と冠動脈疾患には有意差は認めませんでした。したがって、日本人の男女では、海藻摂取と心血管病、特に脳卒中による死亡率は逆相関を示す結論となりました※3。
※3 Kishida R et al. Frequency of Seaweed Intake and Its Association with Cardiovascular Disease Mortality: The JACC Study. J Atheroscler Thromb 27: 1340-1347, 2020
野菜に海藻をプラスして健康効果を最大化
つまり、海藻を多く摂取すると、心血管病、脳卒中による死亡率が低下していたのです。さらに、6169名の男女(40~79歳)を対象に、16年間経過観察された、日本の4つの地域で行われた疫学調査で、24時間思い出し法による食事調査が行われ、海藻の摂取量を少ない群から多い群までの4つに分けて(0、1~5・5、5・5~15、15g/日以上)、心血管病リスクとの関係が調べられました。
その結果、海藻摂取が一番少ない群(0g/日)に比較して、海藻摂取が一番多い群(15g/日以上)では、男性において、脳卒中が37%低下し、脳梗塞が41%低下していましたが、女性ではこれらの関係は認められず、また、脳出血、冠動脈疾患には有意差は認められませんでした※4。
※4 Chichibu H et al. Seaweed Intake and Risk of Cardiovascular Disease: The Circulatory Risk in Communities Study (CIRCS). J Atheroscler Thromb 28: 1298-1306, 2021
以上のように、今まで行われている臨床試験によって海藻の摂取が脳心腎疾患に及ぼす影響について様々な結果が出ており、全体的に考えると、おおむね、海藻の摂取が脳心腎疾患のリスクや死亡を低下させる方向にあるといえるのではないかと思います。
したがって、果物野菜の摂取を積極的に勧めることによって脳心腎疾患リスク低下や全死亡低下が期待できるように、海藻も同時に摂取することが、さらに、脳心腎疾患リスク低下や全死亡低下をより効果的に低下させ、一層大きな健康効果が得られると考えられます。



