相手の視点を理解することが和解への第一歩
また、『日韓歴史共通教材』では、両国の民間団体によるさまざまな取り組みが紹介され、一定の歩み寄りや解決に向けた動きがあると分かるのもポイントです。例えば、このような取り組みが紹介されています。
韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協):1990年に設立された市民団体で、慰安婦問題の解決を求める活動を継続している
アジア女性基金:1995年に日本政府の主導で設立された基金で、元慰安婦への「償い金」の支給を試みた(ただし、韓国では「法的責任を回避するもの」として批判も受けた)
日韓の市民団体の交流:両国の市民団体が協力して、慰安婦問題の真相究明や被害者支援に取り組んでいる
こうした、両国が協力してなされる取り組みが進めば、一方的な視点が入り込むことが避けられない歴史叙述が修正され、後の世代の現実における歩み寄りにもつながることでしょう。
この『日韓歴史共通教材』は、両国の教員・学者が協力して、複数の視点を提示しながら、歴史の複雑さを伝えようとしているのです。
ただし、『日韓歴史共通教材』は正式な教科書ではなく、補助教材としての位置づけです。したがって、その影響力は限定的であり、多くの韓国や日本の生徒がこの教材に触れる機会は少ないのが現状です。
それでも、こうした試みの存在自体が重要です。一方的な歴史叙述を相対化し、相手の視点を理解する機会を提供することは、将来的な和解への第一歩となりうるからです。


