“悪気のない毒舌”が並ぶ、大関和の資料
NHK朝の連続テレビ小説「風、薫る」。実在の人物である大関和と鈴木雅をモチーフにした二人のナース・一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)の物語は、修業がまだ続行中。第8週は、見習いである彼女らが勤務している日本有数の病院・帝都医科大学附属病院で、看護婦という存在に懐疑的で受け入れようとしない入院患者の千佳子(仲間由紀恵)が、次第に心を開いていく姿が描かれている。
ドラマでは、熱心に看護を施し看護婦という職業を確立させようとするりんと直美だが、史実はもっと熱かった。いや史実はというか、モチーフである大関和がとにかく熱かった。
ここまで、何度か史実との違いを記事にしてきたが、史実のその熱さたるや完全に昭和のスポ根ドラマを煮詰めたもの。これを知れば、ドラマ、そしてモチーフである2人を誰もが好きになることは間違いない。
さて、生涯を看護婦のために尽くし比較的多くの資料が残る和。その人物としての特徴は、まったく本人は悪気がない毒舌である。いや、とにかく業績は目覚ましいのに、口を開いたり筆を執れば「この人を世間に見せてはいけない」レベルで酷いのだ。
実地先は「鬼の様な看護婦ばかり」
そんな彼女が看護婦として、あるいは社会運動家として名を知られるようになった明治後期、聞き書きをもとに連載記事を掲載したのが「毎日電報」という新聞だ(現在の「毎日新聞」の源流のひとつ)。その連載、1907年1月31日付から5回にわたった「看護婦の苦心=大関和子女史談=」で、まず和は座学を終えて、いよいよ帝大病院(現在の東京大学医学部附属病院)で実地が始まった時のことをこう語っている。
これまでドラマの解説でも記されている通り、大関ら以前には日本には正規の教育を受けた看護婦というものはいなかった。とはいえ、鬼のようなとはどういうことか?
とにかく正規の看護教育というものなど受けていないので、無知なまま患者が痛がるのも構わず処置をしたりしていることをあげている。しかし、和はその無知をめちゃくちゃ糾弾するのだ。

