ポジティブに扱われがちな言葉だが、「人間的」とはAIではないという意味であり、AIよりもエラーを起こしますよという意味でもある。人間は常に合理的に思考し行動するわけではなく、合理性から逸脱する高い潜在的可能性を備えている。したがってそもそも合理的ではない存在たる人間たちが日々集まる場所、つまり組織において、その日々の営みや意思決定が不合理なのは道理である。
特に会議前の根回しとか気配りとか、忖度や派閥やゴマスリとか、そんなのに乗せられてすぐいい気分になってしまう上司とか、取り立てられて出世していくアイツとか。不合理・不条理の最たるものとして思い浮かべられ、イメージがよろしくないのが「社内政治」ではある。社内政治とは悪徳であり非倫理的で不潔、本質的な実力とは無関係でチョー日本的、そんなネガティブなイメージはないだろうか?
ところが「社内政治は会社というシステムの欠陥ではなく、その構造に本質的に組み込まれている現象なのです」と、いきなり4ページ目にして看破するのが本書だ。会社の人事歓送迎会ピークの3月第4週には丸善丸の内本店のビジネス(経営)部門にて1位も獲得(日経BOOKプラス調べ)。成功者かつビジネス書巧者が多い丸の内で断然読まれているというところに、本書の静かな凄みがある。インテリビジネスパーソンの間で静かな人気を博す理由は、おそらく圧倒的に知的なユーモアだろう。
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