差別がいけないのは当然だが、何が差別? ありがちなのは「ある集団(企業でも役職でも)にはXX人が少ない、よって差別」という論法だ。その背後には、ベース能力は万人が平等だから、分布の差は差別のせい以外にありえない、という単純な発想がある。

が、本書はそれに果敢に挑む。主張は単純。分布に偏りが出る理由なんて無数にある。だからそれだけで差別とは言えない――それを指摘し続けるのがこの本。そして本書の強みは、著者ソウェルが黒人である点だ。他人種がこんな本を書けば「黒人差別を否定とは、おまえは差別屋だ」と叩かれる。が、ソウェルにはその手が通用しない。

書影
差別と格差の経済学』トマス・ソウェル 著 村井章子 訳 日経BP/3600円+税

黒人の多い地区から店が撤退したり、高めの値づけをしたりする。活動家はそれを差別だと言う。でも実際には万引や強盗が多すぎて、商売が割に合わないか、その分を上乗せしないと採算が取れないだけだ。差別じゃない。

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