雑誌・新聞の「書評」コーナーに一つ不満がある。

「ちょっと前の本」を紹介してくれない。読者にとって本とは「偶然出会った」ときが「新刊」だ。今回、編集者にわがままを言い、最近出会った「ちょっと前に出た本」2冊を紹介する。

1冊目は2019年9月発行の『急に具合が悪くなる』。哲学者・宮野真生子と人類学者・磯野真穂の数カ月間20通の往復書簡だ。本書を原作とした濱口竜介監督の映画は今年のカンヌ国際映画祭で激賞され、主演のヴィルジニー・エフィラと岡本多緒がW最優秀女優賞に輝いた。映画をご覧になった方は、ますます読んでほしい。本書こそは「偶然に出会う」かけがえのなさを気づかせてくれる。本書に出会ったのも偶然だ。私の隣の研究室に「磯野さん」が着任したからである。同僚の本を読むのは私の趣味。で、ハマった。

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