「私の自由がなくなる」
夫は週1回の訪問リハビリと、月に1回の訪問看週に加え、週3回デイサービスに通い始めた。デイサービスで夕食も入浴も済ませてくる。
「一度、夫は浴室で大便を漏らし、それを隠蔽しようとして適当にシャワーで流し、知らん顔で出てきまして……。次に入ろうとした私が、茶色に濁るバスタブ、排水溝に残る大量の大便に気づき、ものすごく怒りました。その時に、『何か困ったことがあったら、怒らないから私を呼んで。隠そうとするから余計に酷いことになる』と言い聞かせたら、それ以降は何でも私を呼ぶようになりました。でもそれは、『私の自由がなくなる』ということでもありました」
夫はもう、リハビリパンツを履いても、「便が出た」という感覚がわからなくなっていた。
「予定のない日は8時半頃夫を起こし、朝食。昼までの間、私は家事、夫はぼんやりリビングに座っています。ここで困るのは、デイサービスのスタッフさんの悪口などを言い始めると止まらなくなることです。そして、『記憶のすり替え』というそうですが、実際には意地悪なスタッフさんなんていないのに、仮想敵のようなものを作ってしまい、特定の人を悪者に仕立てて『あいつはひどい』とひたすら訴え続けるのです。この件では誤解が生じないように、デイサービスの責任者と話し合い、ケアマネさんとも情報を共有しました」
昼ご飯の後は、愛犬2頭と一緒に昼寝。愛犬たちは、夫が不機嫌なことが多かった頃は夫を避けていたが、最近は避けなくなった。
夕方に起きて、松竹さんは夕食の支度。夕食は決まって、夫が撮り溜めた「刑事コロンボ」を観ながら。
夫は自分で食べられるが、こぼす。途中でテレビに釘付けになって進まなくなる。トイレに頻繁通う。などで、2時間近くかかることも。22時〜23時には床についた。
「夫の睡眠時間は私の自由時間です。以前は寝るのを拒否するなど、私を縛り付けるような言動が目立ちましたが、最近は『とにかく施設に入りたくないから頑張る』そうで、言うことを聞いてくれるようになりました」
2025年4月。87歳になった夫は要介護2に。1人で着替えさせると脱いだ服をもう一度着てしまったり、服薬したのに「飲んでいない」と言い張ったりするなど、物忘れがひどくなった。
同じ話を何度も繰り返す夫に疲弊し、一緒にいる時間を減らそうと考えた松竹さん(66歳)は、利用しているデイサービスのスタッフに「空きが出た日は連絡ください」と伝え、自由時間の確保に努めた。
「介護サービスの利用を増やしたいのですが、通っているデイはいっぱい。ショートステイもなかなか空きがなく、2026年1月にようやく2泊3日で利用してみましたが、『うるさい人がいるからもう行きたくない!』『デイのほうがいい』と、夫は大変不機嫌になりました。それもそのはず。日中はほったらかしで、車いすに座っているだけの時間が永遠に続くわけで、機嫌が悪くなるのは当然のこと。もうショートステイは当面無理でしょう。もっと病状が重くなれば別ですが……」

