終わらない世界戦へのバトン
2025年6月末、次男の洋平にゼンショーHDの社長の座を譲り、自らは会長職に専念した。創業以来初の社長交代である。その約9カ月後の訃報だった。
小川はかつて取材に対して、1980年代の吉野家再建時の対立を「その時の歴史は正しく語られていない。だが当事者が数多く存命で、まだ言えない」と語っていたが、彼自身の口から、あの敗北の「真相」が語られることはついになかった。
生涯を通じて「闘う相手」を求め続けた男は、最期まで世界を相手に構えていた。1兆円という数字は、その長い闘いの途中経過にすぎなかった。本当の世界戦はこれからだったが、規格外のガキ大将は、もういない。
参考文献
「敗北からの『全勝』経営 ゼンショー小川氏死去 因縁の吉野家超え(評伝)」日本経済新聞 2026年4月8日朝刊
「【評伝】ゼンショーHD創業・小川賢太郎氏 一代で売上高1兆円企業築く」産経新聞 2026年4月8日朝刊
「ゼンショー新社長、創業者次男の小川洋平氏」日経MJ(流通新聞)2025年5月16日
「ゼンショー、異物混入が影――社長に小川洋平氏 創業以来初交代 世界展開を加速」日本経済新聞 2025年5月14日朝刊
「すき家、理想と野望が壁になった風土改革」日本経済新聞電子版セクション2014年8月21日
「ゼンショーがロッテリアを買収へ! 買収側と売却側、それぞれの思惑は」ダイヤモンド・チェーンストアオンライン2023年2月28日
「トップインタビュー:ゼンショーホールディングス・小川賢太郎会長兼社長兼CEO」月刊食品工場長 2016年12月1日
「夢は外食世界一(1)〜(5)ゼンショー社長小川賢太郎氏(人間発見)」日本経済新聞 1999年6月7日〜11日夕刊

