どうやって輸出を増やすのか?
次に政府が主食用として輸入しているミニマムアクセス米10万トン(編集部注:WTOの農業合意に基づき、日本が原則として輸入を義務付けられている年間約77万トンの外国産米のうち主食用は10万トンとなっている)の枠の消化率を見てみよう。
かつては内外価格差が大きくこの消化率は100%だったものが、近年内外価格差が解消・逆転するなかで消化率が大きく低下していた。これが最近の米価高騰で再び100%となっている。
さらに、低関税のミニマムアクセス(MA)の枠外の民間輸入でも、極端な円安や輸入禁止的な関税を乗り越えて、カリフォルニア米が大量に輸入されている。2025年度は4月~10月だけで8万8000トンの輸入である。大幅な価格差の中で日本米の輸出を行うことは不可能である。
巨額の財政負担と食料危機を招く
農水省は、2030年にコメの輸出量を35万トン(2023年実績の約8倍)とする目標を掲げている。25年産の3万6000円の米価で無理に輸出を増やそうとすれば、現在輸出用に用意している減反補助金の単価を大幅に増額しなければならない。これだけで約1600億円もの膨大な財政負担が必要となる。
しかも、これでカバーできるのは、水田面積230万ヘクタールのうち7万ヘクタールに過ぎない。130万ヘクタールに主食用のコメを作付けしても、残る90万ヘクタールは麦や大豆等に転作(減反)しなければならない。減反の仕組みに何らの変更もない。しかも、今の異常な主食用米の価格では、農家に主食用米から他作物に転作するよう誘導するためには、減反補助金の単価を増やさなければならない。減反の財政負担は今の3500億円から大幅に増加する。
このような財政負担を用意できないと、主食用のコメの30万トンの減産に非主食用のコメも減産となるので、トータルとしてコメの需要は減少し減産となる。このような状況で台湾有事が起きれば、日本国民は半年で餓死する(参考記事)。
これは、鈴木氏の主張に従っても、“減反”ではないだろうか?




