認知症は体より先に脳が老化
脳もそのほかの臓器と同じで、老化のスピードは人それぞれです。高齢者人口の増加や平均寿命の長寿化に伴い、患者数が増え続けている認知症は、脳が体より先に老化した状態と言えます。ただ僕は、認知症が増えている本質的な理由は、日本の現代医療の延命至上主義にもあるような気がしています。つまり、認知症は「怖い病気」ではなく、医療によって「つくられた状態」という側面もあるように思うんです。
現代医療は、体の病気を治して治して老化をごまかし、とうとう治せない「認知症という状態」まで生きられるまで発展してきた。ある意味、脳が限界になるまで生きられる時代になっているんですよね。だからこそ、「健康で長生き」をイメージして「こうなりたい」と思うだけではなく、その先の「逝き方」を考えないといけない。
高齢者自身が終わらせ方を考える
親自身が望む逝き方を尊重したり、自分らしい最期を迎えるには、まずは「人はいずれ死ぬ」ということを受け入れて、親や自分が死ぬ時のことを考えておかないとうまくいきません。そして、病気と診断され、治療を提示されてから考えるのではなく、元気なうちから、自分が病気と診断されたときの治療方針を決めておくことが大事です。たとえば、がんと診断されたら、病院で手術するのか、抗がん剤治療を受けるのか、あるいは何もしないのか。治療するにしても、どこまで治療をがんばり、どの段階で治療をやめるのか。
高齢の方が延命治療を望まず、その意思を子どもに伝えておく際は、「心臓マッサージはしない」「胃ろうはしない」「食べられなくなったら点滴もしない」など細かく伝え、さらに書き残しておくべきでしょう。それでもいざとなると、家族はやはり治療してほしくなる場合がほとんどです。ですから、常に自分の生き方を考え、家族に伝えて理解してもらう必要があります。「延命治療はしないでね」と伝えるだけでは100%無効ですから。
そしてもし、残された時間を自宅で自分らしく生きることを選ぶなら、可能な限り、亡くなる直前まで「歩く」ことです。

