――努力は自分で認めてあげればいい、ということですよね。であれば、自分の頑張りを分かってくれない上司や同僚に努力をアピールすべきでしょうか、という質問も、やや不毛かもしれませんね……。

荒木:査定面談の場以外で「(自分の努力を)常にアピールしなきゃいけない」と考えてしまう環境は、あまり好ましくないですね。組織のコミュニケーション構造に無理が生じているのかもしれません。観察が欠如している組織ほど、不毛なアピール合戦が起きてしまいます。

ただ、アピールするかどうかは別に、自分のやったことを可視化するのは、何かを続ける上で非常に重要です。それが何より自己肯定感を育むからです。Voicyの配信を休まず続けると、「ルーティンを守れる人間だ」という自分自身の自信につながるように。

加えて、やったことの可視化は、インプットとアウトプットの因果関係を明確にして振り返りの習慣をつけやすい(PDCAサイクルを回しやすい)という側面もあります。「今週なんか忙しかったな」で終わらせず、何をして、それがどういう結果や気づきにつながったのか。その振り返りの習慣があるかないかで、努力と報酬の関係性もよりコントロール可能なものになるでしょう。

――確かに、自己肯定感や振り返りを通じた改善といった要素は何かを長く続けていく上で大切です。しかし誰しもが設定できるわけではありません。荒木さんも当初はVoicyの配信を続けていくのに苦労されたのでは。

荒木:そうなることが予想できていたので、始めたばかりの頃に「忙しい日や気分が乗らない日でも続けられるコンテンツは何か」を徹底的に考えました。そこで出した答えが、自分が書いた『ビジネス書図鑑』という書籍の図解を1ページずつ解説すること。自分が書いた本の内容なら、準備なしでも話せますし、ハードルが極限まで下げられます。そうやって「省力モード」で続けていくうちに、やらないと気持ち悪いという感覚が生まれました。

物事を始める時、人は熱量が高い状態にありますよね。でも、その時の熱量を基準にしてしまうと、熱が冷めた時に必ず続けられなくなる。大事なのは、意思の力を使わずに回る仕組みです。経営思想家のジム・コリンズが著書『ビジョナリー・カンパニー2 飛躍の法則』で提唱した「弾み車の法則(強い会社は、事業に勢いを生む弾み車をつくり、それを回し続けることで成長するという考え方)」と同じで、最初は回すのが大変ですが、一度回り出せば勢いがつきます。

努力を続ける技術
● 得られる「報酬」を適切にマネジメントする
● やったことを「可視化」し、振り返りの習慣をつける
● 「意思の力を使わずに回る仕組み」を構築する