荒木博行さんに学ぶ努力を続ける技術
画像提供=MEETS CAREER by マイナビ転職

「努力は報われる」という言葉に、どこか嘘くささを感じてしまう。

最短距離で成果を出したい。ムダな苦労はしたくない。

そんなコスパ・タイパの考え方が一般化した現代において、すぐに成果の見えない積み重ねを説く言葉は、もはや時代遅れのようにも思えます。

しかし、圧倒的な成果を出している人の背景には、必ずといっていいほど膨大な、そして一見非効率とも思える努力のエピソードが添えられています。

私たちは、賢くありたいと願う一方で、どうしようもない停滞感のなかで「結局、何をどれだけ頑張ればいいのか」という問いに立ち尽くしているのではないでしょうか。

今回、そんな疑問をぶつけてみたのは、株式会社学びデザイン代表取締役の荒木博行さん。近著『努力の地図』で、「努力の構造」や「頑張る技術」を言語化した、いわば努力の専門家です。

荒木さんが語るのは、精神論としての努力ではありません。それは、AIには代替できないオリジナリティをつくり、変化の激しい時代を生き抜くための高度な生存戦略でした。

荒木博行さん
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荒木博行さん。住友商事、グロービス(経営大学院副研究科長)を経て、株式会社学びデザインを設立。株式会社フライヤーのアドバイザー、CQ BANKのエバンジェリストを務める他、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部、金沢工業大学大学院、グロービス経営大学院などで教員活動も行う。北海道にある株式会社COASや一般社団法人十勝うらほろ樂舎にも関わり、学びの事業化を通じた地方創生にも関与する。著書に『努力の地図』『構造化思考のレッスン』『裸眼思考』『独学の地図』『自分の頭で考える読書』『藁を手に旅に出よう』『見るだけでわかる!ビジネス書図鑑』『世界「倒産」図鑑』『世界「失敗」製品図鑑』など多数。Voicy「荒木博行のbook cafe」、Podcast「超相対性理論」のパーソナリティ。

努力を意味づけるのは「後付けする力」

――努力せずに成長できないことは分かっているのに、努力できないーー。そんな人は少なくないと思います。SNSのタイムラインに流れてきた他人のキャリアと比べ、YouTubeのビジネス系動画を見て「今の仕事のやり方だとコスパ悪いのかも……」と悩み、結果として動けなくなる、といったように。

荒木博行さん(以下、荒木):効率性を追い求めることは、リソースが限られる中で、賢く生きて成果を出すためのリテラシーとしては大切でしょう。が、大きな落とし穴もあって。それは通り道がみんな一緒になってしまうことです。

効率性を極めようとすると、どうしても世間的に正解とされているマニュアルやセオリーに頼ることになる。そうすると、やることが周囲と似てくる。その結果、何が起きるかというと、独自性が失われ、入れ替え可能な人材と見なされる可能性が一気に高まるんです。

本当の強みやオリジナリティというのは、一見ムダに見える試行錯誤や、他人がやらないような非効率なところにこそ宿るものです。誰もが切り捨てたムダなアクションの中にこそ、真の答えや面白さが残っている。皮肉なことに、効率性やコスパ・タイパといった概念が持てはやされるほど、こうした傾向が強まるというパラドックス(逆説)があります。

――それでもやはり注ぎ込める時間やコストは限られており、取捨選択せざるを得ない現状もありますよね。何が必要な努力で、何がムダな努力か。その境界線はどこにあるのでしょうか。

荒木:「ムダ」と「必要」に明確な差分なんてないんです。

例えば、ある野球選手がレギュラーになるために何千回とバットを振ったけれど、結局レギュラーになれなかった、というストーリーがあったとします。その瞬間だけを切り取れば、何千回の素振りはムダだったと見なされるかもしれません。

でも、その何回も続けた素振りの経験が、社会人になってから「地道に続ける力」として仕事に活きたり、誰かとの縁をつなぐきっかけになったりするかもしれない。そうやって中長期的な視点で回収できれば、ムダも「必要な経験」に変わります。

つまり、努力の意味は後付けでどうにでもなるということなんです。

経験に対する短期的視点と長期的視点
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