総合的な価値で「また来たい」と思わせる

「一風堂」と「一蘭」。この二つのブランドには共通点も多い。まず、どちらも豚骨ラーメンにおいて「臭みの除去」を徹底した点である。豚骨特有の熟成臭は、一定のマニア層には歓迎される一方で、苦手とする人も少なくない。

全国展開や海外進出を視野に入れた時、より多くの人に受け入れられる味の構築が求められる。その課題を、両社は独自の製法で乗り越えた。

また、両者に共通するのは店舗体験の重視である。味だけではなく、空間、接客、サービスの仕組みといった総合的な価値によって「また来たい」と思わせる。

その意味で、彼らが提案したのはラーメンそのものだけではなく、「ラーメンの楽しみ方」であったとも言えるだろう。

井手隊長『ラーメンビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)
井手隊長『ラーメンビジネス』(クロスメディア・パブリッシング)

こうして見ていくと、「一風堂」と「一蘭」が登場したことは、単に一ジャンルとしての豚骨ラーメンを広めたという枠にとどまらず、日本のラーメン文化全体の進化に大きな影響を及ぼしていることが分かる。

豚骨ラーメンはかつての博多のローカルフードから、今や日本全国、そして世界中で親しまれるグローバル食となった。その変革の最前線に立っていたのが、この二つの博多ブランドだったのだ。

クサウマのローカル食を、誰が食べても美味しい一杯に再構成したことで、豚骨ラーメンは新たな時代を迎えた。そして今もなお、多くのラーメン店がこの二つのブランドの影響下にあることを考えると、豚骨ラーメンの時代はまだまだこれからなのかもしれない。

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