アプリすら必要なくなる
――えっ、アプリを使わない? どうやって買い物するの?
例えば、いまのスマホで食事するお店を探すとき「カレンダー」で予定を見て、「食べログ」を開いてお店を探して、「PayPay」で払うでしょ? でも最新のスーパーアプリ構想は違う。
スマホに向かって「来週の金曜、エナとおいしいイタリアンに行きたい」って話しかけるだけでいい。そうするとAIが自動でパパのスケジュールを押さえて、お店を予約して、支払いまで済ませてくれる。人間は、アプリのアイコンをタップする必要すらなくなるんだ。
――うわ、なんかすごいけど……人間がダメになりそう。
中国や東南アジアでは、すでにチャットボットの中で生活のすべてが完結する動きが加速している。さらに衝撃的なのは「お金に色がつく」ことだね。
経済のコントロールも自由自在
――お金に色? パパ、頭大丈夫?
比喩だよ(笑)。これを「プログラマブル・マネー(プログラム可能なお金)」(注5)と言うんだ。
例えば、政府が給付金を配るとするよね。日本だと銀行に振り込まれて使い道は自由だけど、デジタル通貨なら「食料品にしか使えないお金」とか「3カ月以内に使わないと消滅するお金」というプログラムを埋め込むことができる。
――えっ、消えちゃうの? それお金じゃないじゃん!
いや、それが経済を回すんだよ。中国では実際に、使用期限付きのデジタル人民元を配る実験が行われたことがある。貯金させずに強制的に消費させることで、景気を爆発的に良くするねらいがあるんだ。日本人が「1円でも多く貯金しよう」としている間に、世界では「お金に意思を持たせて、経済をコントロールする」実験が始まっているんだよ。
――なんか……便利を通り越して、ちょっと怖くなってきた。国に管理されてるみたい。
その感覚は正しいよ。だからこそ「Web3」みたいな、国に管理されない自由な技術も同時に注目されているんだけどね。パパはこの「プログラマブル・マネー」に感動して、さっそく開発中の「パーパーアプリ」に導入することにしたんだ!
――嫌な予感しかしないんだけど。
エナへのお小遣いを、完全デジタル通貨「パッパコイン」にする! このコインには「参考書と文房具にしか使えない」「テストで赤点を取ると残高がロックされる」という画期的なプログラムが……。
――最っっっ悪! 絶対に流行らないし。もはや経済制裁じゃん!
注5 プログラマブル・マネー
「使途」や「期限」、「条件」などをプログラムとして組み込まれたデジタル通貨のこと。中央銀行デジタル通貨(CBDC)の重要な機能の一つ。「特定の地域でしか使えない復興支援金」や「子どもがアルコールを買えないお小遣い」などが技術的に可能になる。


