スーパーアプリの本当の怖さ
――えっ、iPhoneのApp Storeがいらないってこと? それ、Appleが怒るんじゃない?
冴えてるね! だからいま、世界中でプラットフォーム同士の主導権争いが起きているんだ。
でも、もっと怖いのは二つめの「人間の格付け」だ。中国には「芝麻信用」って有名な信用スコア(注4)があるんだけど、スーパーアプリ上の行動履歴で、個人の信用度を点数化しちゃうんだ。
――点数化って、テストみたいに?
そう。例えば、スーパーアプリでおむつを定期的に買ってる人は、「家庭的で責任感がある」と判断されてスコアが上がる。逆に、深夜までゲームに課金してたり、光熱費の支払いが遅れたりするとスコアが下がる。
注4 信用スコア(Social Credit Score)
個人の属性(年齢・職業)だけでなく、購買履歴、支払い状況、交友関係などの膨大な行動データをAIが分析し、個人の信用力を数値化したもの。中国の「芝麻(ジーマ)信用」が有名。スコアが高いと、融資枠の拡大やシェアサービスの保証金免除など、実生活で優遇を受けられる。
日々の活動が評価される
――うわっ、生活をのぞかれてるみたいで気持ち悪っ!
でも、スコアが高いと「デポジットなしで自転車や充電器が借りられる」とか「ローンの金利が安くなる」、果ては「病院の会計待ち時間が短縮される」なんて特典があるんだ。だからみんな、必死でいい行いをしようとする。
――「いい行いかどうか」をAIに評価されるの? なんかディストピア小説みたい……。
日本人は銀行の残高や勤め先で信用を測るけど、デジタル経済圏だと「日々の振る舞い(データ)」そのものが信用になるんだよ。受験や就活で、成績じゃなくて信用スコアを見られるのが当たり前になるかもしれないね。
――絶対にやだ! 私のスコア、絶対低いもん!
自覚はあるんだね(笑)。だから、一つのアプリにデータが集中する「スーパーアプリ」は、国をも動かす巨大な力を持つことになる。そしてね、その「スーパーアプリ」という概念すら、さらに進化しようとしているんだよ。これからは、そもそも「アプリを開く」ことすら必要なくなるんだ。

