毎年資産の2%をドブに捨てている
2025年12月19日、日本銀行は政策金利を0.5%から0.75%へと引き上げる決断を下しました。この数字は、バブル崩壊の傷跡が深かった1995年(平成7年)以来、実に30年ぶりの水準です。
「ようやく預金に利息がつく時代が戻ってきた」と、安堵の表情を浮かべる方も多いかもしれません。しかし、熟練の投資家やFP(ファイナンシャルプランナー)の視点は正反対です。今回の利上げは、私たちが長く慣れ親しんできた「デフレ経済」の終焉と、資産が音を立てて削られる「インフレ経済」への本格的な突入を告げる警告音に他ならないからです。
1995年と現在の「0.75%」は、一見同じに見えて中身は正反対です。「金利が上がって良かった」とのんきに構えている人は、実は銀行に預けているだけで、毎年資産の2%をドブに捨て続けていることに気づいていません。この「静かな資産の蒸発」を止める具体的な防衛策を知らなければ、20年後、あなたの100万円の価値は半分ほどに目減りしているでしょう。
同じ「0.75%」でも30年前との決定的違い
今から30年前、1995年(平成7年)を振り返ってみましょう。
1月に阪神淡路大震災、3月に地下鉄サリン事件、そして4月には1ドル79円台という驚異的な円高。当時の私は山一證券に勤務し、兵庫県尼崎市の独身寮で被災しました。私事ですが、その年に結婚し、直後に交通事故に遭うという、まさに激動の一年でした。
当時の金利水準も0.75%付近でしたが、現在との決定的な違いは「金利のベクトル(方向)」にあります。
1995年:長期金利は4.6%から2.7%へと「下がっていく」局面。物価も落ち着き、現金を持っているだけでその価値が相対的に上がっていくデフレの入り口でした。
2025年(令和7年):長期金利は1.0%から2.0%超へと「上がっていく」局面。株価は5万円を超え、背後では猛烈な勢いで物価が上昇しています。
同じ「0.75%」という数字でも、30年前は「冷え込む経済を支えるための低金利」であり、現在は「過熱する物価を抑え込むための利上げ」なのです。この背景の違いを理解せずに預金に固執することは、非常に危険な賭けとなります。
日経平均5万円時代に潜む「見えない税金」
現在の日経平均株価は5万円台をつけ、1995年の1万4000円~2万円台とは比較にならない高い水準にあります。一見、日本経済は絶好調に見えますが、その内実を支えているのは「円安」と「インフレ」です。
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