「エプスタイン・ファイル」の影響力

たとえば、その候補の一つとして考えられるのが「エプスタイン・ファイル」である。

少女売春を組織的に行っていたジェフリー・エプスタインの顧客の一人がトランプだったのではないかとの推測である。当事者のエプスタインは口を開く前に獄中死した。その死が不審だとの疑惑が付きまとっている。

高橋和夫『イランとアメリカ、そしてイスラエル 「ガザ以後」の中東』(朝日新書)
高橋和夫『イランとアメリカ、そしてイスラエル 「ガザ以後」の中東』(朝日新書)

実は、このエプスタインの組織を操っていたのはモサドではないかと推測する報道も散見される。

こうした要因は、相互排除的ではない。つまり、論理と資金提供者などからの政治的圧力と、「エプスタイン・ファイル」の問題が合わさってトランプを動かしたのだろうか。いずれにしろトランプの変心はイランとの妥協を困難にした。あらためて強調しておきたい。これは、あくまで推測だ。

状況を、もう一度おさらいすると、一方でアメリカはイランはウラン濃縮を放棄すべきだとの立場をとった。そして、これが交渉での譲れない一線だと主張した。英語でいうレッドライン(赤い線)というわけだ。

他方で逆にイランは国内でのウラン濃縮の継続は譲れない一線だとの立場を取った。こちらも譲れないレッドラインだ。二本の赤い線が交わることなく平行に走り続けていた。

*1 https://www.nytimes.com/2024/11/14/world/middleeast/elon-musk-iran-trump.html アクセス 2025年9月28日
*2 https://www.theguardian.com/us-news/2025/jan/08/trump-video-crude-reference-netanyahu アクセス 2025年9月28日
*3 https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/01/faa6b10b1a49aa4f.html アクセス 2025年9月28日

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