なぜ日本では「やせ=健康信仰」が根強いのか
こうしたデータがあるにもかかわらず、なぜ日本人はここまで「やせなければならない」「メタボは悪だ」と信じ込まされているのでしょうか。
テレビをつければ「脂肪を減らす」効果があるとするサプリメントのコマーシャルが流れ、健康診断では厳しい基準値を突きつけられます。
実は、この「脂肪=悪」という図式のそもそもの発端は、1980年代初頭のアメリカにあります。当時、肥満とコレステロールが心筋梗塞の主犯であるとして、国家レベルでの追放運動が始まりました。
現在もアメリカの肥満問題は深刻で、成人の4割以上(約40.3%)がBMI30以上の「肥満」に該当し、OECD諸国で肥満率ナンバーワンです(2021年8月〜2023年8月のデータ)。
死因のトップが心臓病(特に心筋梗塞)であり、肥満が動脈硬化を招き、命とりになるケースが非常に多いのです。だからこそ、国を挙げて肥満対策にとり組む必要があります。肥満人口が極めて多いアメリカでその戦略は合理的です。
日本人の死因トップ「がん」に対抗する
しかし、私たち日本人はどうでしょうか。日本人の死因のトップは当時からがんで、50年近く続いています。そして、心筋梗塞で亡くなる人はアメリカに比べて格段に少ないというのが現状です。
日本の医療界がこのアメリカの健康常識をそのまま輸入し、そこに美学的なやせ文化が結びついたことで、現在の「やせ信仰」が完成したというわけです。
しかし、冷静にデータを比較してみると、この輸入された常識が日本人の体質や疾病構造に合致していないことが明らかになります。
がんに対抗するために最も必要なものは免疫力。そして、その免疫力を維持する材料となるのが、これまで悪者扱いされてきたコレステロール(脂質)やたんぱく質なのです。
先進国の中で唯一、日本だけでがん患者の死亡数が増え続けているという事態の背景には、過剰栄養よりむしろ低栄養があるのではないかと推測されます。
アメリカの常識を鵜呑みにしてやせたり低栄養になったりすると、日本人の死因トップである「がん」に対して無防備になってしまいかねません。

