「選ぶ楽しさ」の訴求が高評価に直結した

出店エリアの人々の生活や嗜好を踏まえた品揃えを展開できているかどうかが、評価の大きなポイントだと考えられる。その点でイトーヨーカドーとジャスコはどちらも高いレベルにある。

イトーヨーカドーは特に品質への評価が高かった。同社は生産者の特定できる産直野菜を増やしており、こうした点が評価に繋がったのだろう。これに対しジャスコはPB商品の「トップバリュ」でさまざまな自社開発商品を販売しており価格競争力が強い。また店内でパンを焼く「インストアベーカリー」を備えた店舗も積極的に展開している。特にパン屋の少ない地方ではおいしいパンを食べたいと望む主婦層への訴求力が高い。

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食品スーパーでは福島県を中心とするヨークベニマルや世田谷区が地盤のオオゼキなど出店地域を集中させている企業が高く評価された。エリアを絞ることで生鮮品を新鮮なまま陳列できる。地域密着の姿勢が評価を集めた。

高級スーパーは生活に彩りを添える食材を充実させている。成城石井は「少しおいしいものを食べたい」と思ったとき、手頃な値段のワインとチーズを過不足なく選べるなど、絞り込みがうまい。もはや安いだけでは支持を得られない。高評価の店はいずれも「選ぶ楽しさ」の訴求に成功している。

ヤフーバリューインサイトに調査を依頼。20歳以上~70歳未満の会員のうち1000人から回答を得た。調査期間は2008年1月28~29日。編集部で選定した223の有名企業・ブランドについて満足度と重視点は3段階、再訪意向と紹介意向は2段階で尋ね、100点満点に換算した。総合点は重視点を反映させており5項目の和と一致しない。サンプル数5件以下の企業は掲載を見送った。
(中村尚樹=構成 ライヴ・アート=図版作成)