価格以外の付加価値が提案できるかどうか

「おいしさ」は「接客態度」と正比例の関係にある
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「おいしさ」は「接客態度」と正比例の関係にある

調査結果はマクドナルドの業界トップの座が盤石ではないことを示している。マクドナルドへの評価は価格や立地に限られており、「おいしさ」では最下位だからだ。「再訪意向」と「紹介意向」に大きな隔たりがあることからも、「使い勝手が良いから行く」という背景が見てとれる。他社が価格や立地を改善すれば、優位性はなくなってしまう。たとえば商品力や接客で高い評価を集めたモスバーガーは、改善の余地が大きいといえる。

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また、接客が高評価の店は総合点も高くなる傾向にある。カフェの「アフタヌーンティー」、焼きたてパンの「ベーカリーレストラン サンマルク」、個室で湯葉・豆腐会席を出す「梅の花」はいずれも表内の競合店と比べると決して安くはない。だが手頃な価格で丁寧なサービスを受けられる店である。価格以外のところで付加価値を提供することが評価に繋がっている。シャレたインテリアと完全禁煙でコーヒーショップのイメージを一新したスターバックス コーヒーもその系統にあるといえる。

一方、特徴に乏しいファミリーレストランや居酒屋は支持を失っている。競合店の「いいとこ取り」だけでは凡庸な店にしかならない。際立った特徴や新たな付加価値をつくり出せなければ、自然と淘汰されてしまうのではないか。

ヤフーバリューインサイトに調査を依頼。20歳以上~70歳未満の会員のうち1000人から回答を得た。調査期間は2008年1月28~29日。編集部で選定した223の有名企業・ブランドについて満足度と重視点は3段階、再訪意向と紹介意向は2段階で尋ね、100点満点に換算した。総合点は重視点を反映させており5項目の和と一致しない。サンプル数5件以下の企業は掲載を見送った。
(中村尚樹=構成 ライヴ・アート=図版作成)