話すテンポの強弱は、相手との駆け引きで決める
その点、若干感覚的な話で恐縮だが、早いテンポで話す人には、なるべく同じようなスピードで話したほうがいいだろう。相手の“train of thought”のスピードに合わせてあげたほうが、相手は気持ちよく話せる。そうなると、この項目の冒頭で述べたようなゴールに、より早く近づくことができるだろう。
一方でこちらが早くしゃべろうとテンプアップしても、まったく自分のリズムを崩さなかったのが、世界的ジャーナリストのボブ・ウッドワードである。
彼は、まるで私にバトンを渡したくないかのように、自分のペースで話し続ける。私がテンポアップしようとしても、向こうはまったく意に介さず。
それもあって、私はなかなか核心に斬り込めなかった。彼自身ジャーナリストだから、聞く側の狙い、それに対する聞かれる側の守り方をわかっている。つまり、話の主導権を常に握っていたかったのだ。
ただ、聞く側は最終的には、話す側に合わせるしかない。何度も述べてきたように、こちらの思いがどうであれ、相手が気分よく話せるか否かが、いい答えを引き出すための重要な分岐点となるのだ。
「相手の気持ち、快適さファースト」
それに加えて、もうひとつ気にしなければならないのが、集団で話しているときだ。1対1なら、相手とのある意味でせめぎ合いのなかで、話の主導権を握るチャンスを探ることができる。
ところが、集団の場合は、それだけを意識していればいいというものでもない。周りに自分の話していること、質問の内容等をわかってもらう必要があるのだ。
実際、私もテレビに出るときは、何とか“loose my train of thought”すなわち、自分の思考のつながりを見失わないよう、言いたいことを忘れないよう気をつけながら、“徐行運転”を心がけている。
会話、質疑の流れは自分ひとりでつくれるものではない。まさに、マラソンのように、ペースがあまりに遅ければ、自ら先頭に立ってペースメーカーの役割も果たす。だが、集団で進む場合は、けん制し合う。それと似たような感じだ。
ただし、マラソンレースとの違いは、あくまで「相手の気持ち、快適さファースト」だということ。
ついつい、自分が気持ちよく話すあまり、相手の気持ちを置き去りにしがちだが、そうならないよう、ときに「待ち」の姿勢を見せながら、核心に迫っていくのが王道の聞き方だと言えるだろう。
待ちの姿勢を見せながら
核心に迫っていく!

