2025年10月に、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト3をお送りします。社会部門の第3位は――。
▼第1位 クマは明確に「人間を食べるため」に住宅街に現れている…80年間の新聞を分析して判明「令和グマ」の異常さ
▼第2位 なぜ「愛子天皇」を恐れるのか…キングメーカー麻生太郎氏が男系男子にこだわり続ける納得の理由
▼第3位 ホリエモン「日本も10年以内に必ず導入する」…膨張を続ける医療費の削減に欠かせない「ズボラ人間罰金制度」
※本稿は、堀江貴文著、予防医療普及協会監修『日本医療再生計画 国民医療費50兆円時代への提言22』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。
日本の医療費を膨張させている「低い健診受診率」
日本の健診受診率の低さは、もはや見過ごせない社会課題となっている。
特定健診の受診率は59.9%、がん検診に至っては50%前後で停滞しており、国が掲げる目標値には程遠い状況だ。
私がこの数字を見て感じるのは、日本人の健康に対する意識と制度設計の間に存在する深刻なミスマッチだ。「忙しいから」「面倒だから」という理由で健診を後回しにする行動は、経済合理性の観点から見ると極めて非効率的な判断と言わざるを得ない。
早期発見できれば簡単に治療できる病気も、放置すれば莫大な医療費と時間、最悪の場合は命まで失うことになる。データを見れば一目瞭然だ。糖尿病や高血圧が重症化すると、年間医療費は大幅に跳ね上がる。予防にかける費用と時間は、治療にかかるコストと比べれば微々たるものなのだ。
それにもかかわらず、なぜ人々は健診を受けないのか。答えは制度設計にある。現在の仕組みでは、健診を受けなくても何のペナルティもない。むしろ、健診を受けずに病気になってから医療機関に駆け込んでも、国民皆保険制度のおかげで治療費の大部分は保険でカバーされる。これでは、予防のインセンティブが働かないのも当然だろう。
世界は「ポイント還元」「ボーナス支給」が当たり前
世界を見渡せば、すでに多くの国が健康行動にインセンティブを導入している。
南アフリカ発の「Vitality」プログラムは、今や世界17カ国で1000万人以上が利用する巨大システムになった。ウェアラブル端末で運動データを記録し、健診を受ければポイントが貯まる。そのポイントで保険料が最大25%も割引になるのだ。
シンガポールでは、政府主導で「Healthier SG」プログラムを開始した。健診を受けた住民には20シンガポールドル(約2300円)相当のポイントが付与され、スーパーでの買い物や公共交通機関で使える。国が直接的に健康行動を金銭的に評価する仕組みを作ったのだ。
ドイツの公的医療保険では、予防接種や定期健診を受けた加入者に年間数十ユーロのボーナスを支給している。アメリカでは、企業の健康増進プログラムで保険料の最大30%まで差をつけることが法的に認められている。
これらの国々は、すでに「健康は個人の責任」という考え方にシフトしているのだ。健康的な行動をとる人は報われ、そうでない人は相応の負担をする。極めて合理的なシステムだと思う。

