※本稿は、吉森保『私たちは意外に近いうちに老いなくなる』(日経BP)の一部を再編集したものです。
老化研究が注目する「100歳以上」の方々
2023年版のWHO(世界保健機関)の発表によると、日本人の平均寿命は84.3歳で世界第1位でした。もちろん、これはあくまでも平均で、かなり長く生きられる方もいます。
老化研究で注目すべきは、100歳以上の方々です。彼らを「百寿者」と呼んでいます。100歳以上の方々は、現在9万人を超え、将来的に70万人台にまで増えるとも予測されています。
「いくら高齢化が進んでも、そんなには増えないのでは……」と思われるかもしれません。しかし、1963年には100歳以上は153人しかいませんでした。これを考えると決して大胆な予測ではないかもしれません。2007年生まれの日本人の半数は107歳まで生きるという試算もあります。
百寿者は、なぜ長く生きられるのでしょうか?
百寿者と、そうでない人の違いは何なのでしょうか?
110歳以上の「スーパーセンチナリアン」
100歳以上の人口が増えているのなら、誰もが長生きは可能なのでしょうか?
それとも寿命は生まれながらにして決まっているものなのでしょうか?
誰もが関心を抱くこの謎にせまる老化研究を、ここでは紹介したいと思います。
慶應義塾大学医学部の百寿総合研究センターでは30年以上前から長寿研究に取り組んでいます。100歳以上の方々を直接訪ね、健康や生活の状態を調査して、健康長寿のメカニズムを解明しようとしています。2000年以降は百寿者を亡くなるまで可能な限り追跡する調査も始めました。
100歳以上を百寿者と呼ぶことは先ほど言いましたが、105歳以上を超百寿者、110歳以上を「スーパーセンチナリアン」と呼んでいます。特に長寿国の日本の特性をいかして、スーパーセンチナリアンの研究では世界で唯一、100人以上のデータを持っています。
ちなみに、日本におけるスーパーセンチナリアンは直近の国勢調査では141人で、前回調査(15年の146人)と比べてもほぼ横ばいです。百寿者が増えていても、スーパーセンチナリアンの壁は高いのです。百寿者の内、スーパーセンチナリアンになれるのは、約500人にひとりであるという調査結果が出ています。

