樹木葬、墓じまい……。近年よく聞く言葉だ。新しく墓を買うにはどのような選択肢があるのか、先祖の墓を移すにはどういう手続きが必要なのか。そしてそれにかかる費用は? 専門家に聞いてみた。
PART1
高い経費と承継者問題がのしかかり一般墓購入者は全体の2割弱

樹木葬墓購入者が5割に迫る理由とは

お墓といえば、「○○家の墓」と墓石に刻まれた縦長の墓石を思い浮かべる人が多いでしょう。これまで一族の墓所を次世代へ引き継いでいくという概念でお墓は建てられていましたが、そうした墓についての常識が大きく変化しています。

背景にあるのは、ライフスタイルや家族の形が変わり、地域コミュニティや宗教観の変化によりお墓に対する考え方が変わったことにあります。お墓もニーズに応じて多様化が進み、選択肢が広がりました。石塔をシンボルとする従来のお墓を「一般墓」とすると、墓石の代わりに樹木をシンボルとする「樹木葬」や、屋内に設置された棚式やロッカー式の「納骨堂」、海や宇宙への「散骨」、複数の遺骨をひとつにまとめて永代供養をしてくれる「合祀墓」「合葬墓」など、弔いの多様化が進んでいます。

どんな墓を選ぶかは、亡くなった方の家族だけでなく、親戚や子孫代々にまで影響が及ぶ大きな問題。人それぞれ生き方が多様化してきたように、墓という終の棲み家もさまざまに形を変えつつあるのです。

鎌倉新書が運営するお墓に関するサイト「いいお墓」が実施した「第16回お墓の消費者全国実態調査(2025年)」の結果によると、「購入したお墓の種類」を聞いた質問では「一般墓」を選んだ人は17.0%に。その代わり「樹木葬」を選んだ人が48.5%と、半数近くを占めてトップになっています。

一方、「お墓を購入する際に重視した点」として多くの人が挙げたのが、まず「お墓のタイプ」(49.4%)。そしてとくに若い世代で上位に挙がっているのが、「金額」の41.9%でした。お墓は新たに購入しようとすると、数百万円かかることもある高い買い物。お墓に対する価値観の変化で、費用にシビアになるのも無理はありません。

さて、一般墓を購入するときの費用は、大きく「墓石代」と、その土地を使用する権利である「永代使用料」に分けられます。家を買うときに、建物の代金(墓石代)と、土地代(永代使用料)が必要になるのと同じようなイメージです。

このうち墓石代は、大きさや石の種類、デザイン、また追加工事の有無などによって60万〜200万円は見ておく必要があります。

一方、永代使用料は概ね墓地の地価に比例します。例えば東京23区内には、0.5平方メートルで総額300万円というお墓もあります。一方その他の地域では1平方メートル当たり5万〜20万円と、場所によって大きな幅があることを覚えておきましょう。

もうひとつ、この永代使用料の額を上下させるのが、墓地の経営主体です。墓地を経営主体別に分けると、次の3つに分類することができます。地方自治体が管理運営する「公営墓地」、寺などの宗教法人が管理運営する「寺院墓地」、そして、経営主体は宗教法人が多いものの、民間企業が開発・販売に関与する「民間墓地」です。

永代使用料が平均的に安いのは、やはり公営墓地です。民間墓地や寺院墓地の場合は、1平方メートル当たりの永代使用料が高い施設は墓所の区画を小さく、永代使用料が安い施設は区画を大きく設定しているのが一般的です。