食材価格や人件費の高騰で閉店を余儀なくされる飲食店がある一方で、愛されて客足が途絶えない店もある。本書は1万軒を超える飲食店を食べ歩いてきた著者が、この先も生き残る飲食店の秘密について語っている。飲食店ビジネスの収益は「単価」×「席数」で決まる。席数を増やせなければ単価を上げるしかないのだが、理由もなく価格が高い店には誰も行かない。高くても客が集まる「良い店」とは、「すべての“なぜ”に答えられる店」という。
「器にしても、盛り付けにしても、なぜこれなのか、理路整然と答えられるお店は、店主の世界観が首尾一貫していて、良い店である確率が高いですね」
店主の世界観は価格設定やドリンクのラインナップにもつながり、心地よい空間をつくりあげる。
「たとえば、天ぷらの名店『くすのき 本店』のご主人は、『天ぷらは揚げ物ではなく蒸し料理』と言い切っています。衣は素材に高温を伝えるための装置と考えているのです」
同店は皿に敷かれた紙に油が一滴もつかないことで有名だ。それだけ油切りがすごい。
「実際、いくら食べても胸やけしません。それでも紙を使うのは、お皿の冷たさで素材を劣化させないためです」
レストランプロデューサー、クリエイティブディレクター。のべ1万1000軒を超える飲食店を訪問。前職は広告代理店営業。前澤友作氏の「食のブレーン」としても知られ、会食時の飲食店のアレンジなどを担当する。
高級店でも大衆店でもそれは変わらない。町中華やラーメン店のような1000円前後の価格帯であろうと、感動を呼ぶお店では味の表現から店内の装飾品に至るまでおいしさの納得感があると話す。
本書には見冨氏が厳選した飲食店のストーリーが数多く紹介されている。お店の背景を知ると、店を訪れたときの味わい方も変わるという。
「飲食店の価値は味のおいしさだけではありません。体験のおいしさもあります。お店のストーリーを知ることで、それを受け取れるようになります」
※本稿は、雑誌『プレジデント』(2025年10月3日号)の一部を再編集したものです。
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