人間は、行動したときの後悔より行動しなかったときの後悔のほうが深く残るという。年収の高い人はどのように決断し、動くのか。シンガポールを拠点に活躍する嶋津良智氏が体験を交えつつ解説する。
調査概要/gooリサーチとプレジデント編集部の共同調査により、「仕事とお金」に関するアンケートを2012年2月1~5日の期間で実施。個人年収1500万円以上で349サンプル、年収500万円で350サンプルの有効回答を得た。
うまくいったときも、振り返って分析する
アンケートの結果では、年収1500万円以上の3人に2人が「20代など若いときに努力して何かしらの成功を手にし、その体験が自信となるなどして現在に生きている」と回答している。
成功体験があると、自分を信じる力がつく。すると新たなビジョンを掲げたとき、今度もやればできるんじゃないかというマインドが生まれる。つまり、次々に新しいステージに挑戦できて、ステップアップが可能になるということだ。
この「やればできる」というマインドを若い頃から醸成することが、将来的に大きな差を生むのではないかと思う。私はあえて「勝てる土俵で闘え」と言っているのだが、自信がないときほど「やればできる」環境に自分の身を置き、成功体験を多く積むことが大事だ。
私自身、普通の大学を出て無名の企業に就職した、いわば凡人の典型だ。だが、与えられた営業の仕事に必死で取り組み、トップセールスになったことが、いまの自分のベースになっている。何の取り柄もなかった自分に取り柄ができたのだ。まさに「目の前の仕事にがむしゃらに取り組んだ結果、これなら誰にも負けないという自信を得た経験がある」というアンケートの通りである。
自分の経験からも、20代は目の前のことにベストを尽くすクセをつける時期だと思う。嫌な仕事だろうが、苦手な仕事だろうが、何かの縁でその会社に入り、取り組むことになったのだから、まずはそれに打ち込むことだ。年収1500万円以上の半数以上が「欲しいと思う高価な商品を買うために、額に汗して働いた経験がある」と答えているが、買いたいクルマや家のために働くという動機でも構わない。額に汗して働いた経験は30代、40代になって生きてくる。