人間は、行動したときの後悔より行動しなかったときの後悔のほうが深く残るという。年収の高い人はどのように決断し、動くのか。シンガポールを拠点に活躍する嶋津氏が体験を交えつつ解説する。
調査概要/gooリサーチとプレジデント編集部の共同調査により、「仕事とお金」に関するアンケートを2012年2月1~5日の期間で実施。個人年収1500万円以上で349サンプル、年収500万円で350サンプルの有効回答を得た。

仕事でも人生でも、指揮官は自分

「仕事でも人生でも、指揮官は自分であり、どのようなことであっても、最後には自分で決める」「日常のどんな小さなことでも、自分の意思で決めるよう意識している」の設問で有意な差が出ているのも、主体的に人生を生きている人ほど、仕事で成功を収め、結果的にそれが高収入に結びつくからだろう。

「ギブ&ギブ」については、上司と部下の関係に置き換えて考えるとよい。じつは私も、自分の後継者とまで見込んで育てた部下にあっさり会社を辞められた苦い経験がある。そのとき得た教訓が「上司が部下のことを思うほど、部下は上司のことを思ってくれない」だ。私は部下に愛の押しつけをして勝手に見返りを期待していたのである。

与えたものに何かを返すかは、あくまでも相手が決めることである。人間は相手に決定権があることを、あたかも自分に決定権があるかのように決めつける悪いクセがあると、そのとき学んだ。

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決断のタイミング

決断のタイミングについて、私は「迷ったら決断しない」という考え方を持っている。迷っている状態とは、数値で言えば「やる」「やらない」の比率が5対5や4対6のときである。「やる」が6で「やらない」が4なら、それはもう迷いではなく不安の領域だ。ある程度、自分の中で成し遂げるイメージは整ってきているので、あとは方法論の問題だ。

逆に「やる」「やらない」が8対2になってからの決断にはあまり意味がない。事業でいえば、このレベルの決断で成功するようなことは、すでに誰かがやっている。6対4や5対5レベルの微妙なところで決断できるからこそ、先行者利益が得られるのだ。