迷ったときに別の選択肢を探す、ネガティブな情報を集める、最悪の事態を想定するといったことが必要なのは言うまでもない。加えて、新しいことを始めるときは、やったときのメリット、デメリットだけでなく、それをやらなかったときのメリット、デメリットまで考えることが、じつは重要だと思う。
「悪い出来事が起こっても、考え方を変えることで、ポジティブな面を見る」に「あてはまる」と回答した高年収者が多いのは、ネガティブ思考や被害者意識からは何も生まれないと知っているからだろう。「グチや不平、不満は言わない」「『疲れた』『時間がない』『忙しい』という言葉を使わない」「人の悪口に同調しない」の設問に大きな差が出ているのも同様である。物事のポジティブな面にフォーカスできるのが、稼げる人の物の見方、考え方といえる。
年収1500万円以上の2人に1人が「ポジティブでいるだけでなく、いつも笑顔でニコニコしているよう、意識している」と回答している。眉間にシワを寄せてイライラしている人と、穏やかな笑顔でいる人とでは、どちらが話しかけられやすいかというと、当然、後者だ。
別の見方で考えてみよう。「話しかけられやすい」とはつまり「情報が入ってきやすい」ということだ。情報が入れば、それに伴い人やモノやお金も集まってくる。アドバイスやヒントが得られれば、自分の成長も手に入る。
笑顔の人は好かれるだけでなく、その場の雰囲気も変える。ニコニコしている上司がいれば明るい職場に、怒りっぽい上司であればギスギスした職場になる。
「怒らないと決めている」と答えた高年収者が多いのは、「自己責任能力」が高く、平常心で事態に取り組むことが肝要だと知っているからだろう。「感情の波をコントロールし、平常心を保つための方法」として、自分なりの呪文をもつのもおすすめだ。私の場合、お守りにしている言葉はふたつ。「ひるんじゃいけない」と「冷静に、冷静に、冷静に」を心の中で3回唱えることだ。
「会いたいと思っていた相手に会ったとき、本人へのお礼メールだけでなく、その人の話を聞かせてくれた人へも報告のメールをする」「パーティや会食の場で出会った人との約束でも、忘れることのないようメモを取り、必ず守る」の設問では、年収1500万円以上がいずれも15ポイント以上の差をつけた。これは、信頼を勝ちとる習慣が身についているかどうかを表していると思う。