12年8月にはスマートフォン向けのアプリから、無料会員でもリポートが送れるようになり、サポーターは約450万人に増えた。こうした仕組みが強みを発揮するのが、夏のゲリラ豪雨と冬の大雪だ。いずれも正確な事前予測は難しい。たとえば首都圏では今年1月14日に大雪が降った。このとき気象庁は「雪が積もる可能性は少ない」として予報を外した。また2月6日には「東京23区で10センチの降雪の恐れあり」と予報したが、これも外した。一方、WNでは1月には「都心でも積雪に注意」と号外を出し、2月には「雪ときどき雨」と予報していた。草開社長はいう。

会員に配布する花粉観測機「ポールンロボ」。目の色の変化で飛散数の目安を知らせる。

「当社の創業理念は『船乗りの命を守る』。海運会社に天気情報を提供することが創業の事業で、世界各地の船から情報を集めていた。プロの観測が一番という既成概念を壊す。そんな土壌があったからだと思います」

もちろんWNは天気のプロ集団だ。全国3000カ所に独自の気象観測システム「ソラテナ」を設置。また近く民間の気象予報会社では初の「超小型衛星」も打ち上げる予定だ。だが気象予報を支えているのはそうしたプロのデータだけではない。

毎年1月にはサポーターのうち1000人に、「ポールンロボ」と呼ばれる花粉観測機を貸し出している。花粉症に悩む人たちが、飛散状況を自宅近くで観測し、共有する。設置場所には偏りも出るし、不通になる場所もある。管理も面倒が多い。特に謝礼などが支払われるわけでもない。それでも、送る情報が誰かの役に立てば――。そうしたサポーターの前向きな気持ちが、精度の高い気象予報を支えている。

【ウェザーニューズ】サポーター参加型天気予報
・450万会員が現在の天気をリポート
・1カ月100万通の天気情報が寄せられる
・さらに1000台の観測機を会員に配布
・「大雪」や「ゲリラ豪雨」などの事前予測に効果
(石橋素幸=撮影)
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