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auスマートバリューとは

スマートバリューの契約者は12年12月末現在で285万件。約166万世帯での契約がある。KDDIの新規契約の実に33%がスマートバリューを利用しているという。

スマホ回線と固定回線を組み合わせて売るというやり方は、ドコモにはできない。「NTT法」で一体営業が禁止されているからだ。スマートバリューはこの弱みを突く施策だ。

KDDIはかねてからケーブルテレビとの協業を画策していた。06年にはジャパンケーブルネット(JCN)の筆頭株主となっている。さらに業界1位のジュピターテレコム(JCOM)も手中に収めようとしたが、筆頭株主の住友商事との交渉が難航。約3年を経て、12年10月に両社が50%ずつ出資してJCOMとJCNを経営統合するという形で結論が出た。13年秋には市場シェアの過半を占めるメディアが生まれる。

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KDDIの歩み

目指すところは、通信と放送の垣根を取り外すことだ。KDDIが現在、JCNで展開している「Smart TV Box」は、ケーブルテレビの受像器でありながら、基本ソフトにスマホと同じ「アンドロイド」が採用されている。このためスマホやタブレットで提供されているアプリや音楽、映像をテレビでも利用することができる。さらにHDDを追加するとテレビ放送を録画することもできる。つまり録画したテレビ放送と有料配信されるコンテンツを、同じ画面で楽しむことができるのだ。

テレビの分野ではアップルやグーグルも様々な取り組みを進めている。特に通信と放送を融合させた「スマートテレビ」は、市場拡大を起こすテーマとして熱い注目を集めている。KDDIの取り組みもその流れに位置づけられるが、なぜテレビそのものではなく、ケーブルテレビなのか。