通信障害で「一律200円返金」を決めたKDDIへの違和感

かつてない大規模で長時間の通信障害を7月初めに引き起こしたKDDIに対し、総務省は8月3日、異例の金子恭之総務大臣名で行政指導を行い、再発防止策の確立や障害時の周知ルールの策定などを強く求めた。

通信障害について記者会見するKDDIの高橋誠社長=2022年7月29日午後、東京都文京区
写真=時事通信フォト
通信障害について記者会見するKDDIの高橋誠社長=2022年7月29日午後、東京都文京区

通信障害の影響が、利用者だけでなく、119番などの緊急通報、気象観測、ATMなどの金融、宅配などの物流をはじめ、社会全体に及んだことを重大視し、これまでにない「厳重注意」となった。

今回の「事件」は、今や、通信ネットワークがきわめて重要な社会インフラに伸長していることを物語るもので、基幹回線の障害は、もはや単なる通信トラブルでは済まされず、ネット社会の重大リスクとして捉えねばならない現実を知らしめた。

スマートフォンが突然、長時間にわたって実質的に使えなくなった異常事態に、多くの利用者が悲鳴を上げたことだろう。だが、それ以上に、暮らしやビジネスの場面で困った人たちが続出したのである。

それだけに、KDDIが7月29日に示した「すべての利用者に一律200円を返金、総額は75億円」という補償も、そうした観点を踏まえて冷静に評価することが求められる。

補償の内容をめぐって、ちまたやネットでは、さまざまな反応が交錯した。

利用者のやり場のない怒り、正確な情報が届かない不信、もうけすぎている通信会社への不満、思いもよらない仕事への影響、切なる再発防止への要望、auショップ店員への労り……。「安すぎる」との不満があふれた一方、「再発防止に使って」という訴えも少なくなかった。

「たかが200円、されど200円」である。

今回の通信障害と補償を起点に、ネット社会の重要プレーヤーとなった通信会社の立ち居振る舞いについて考えてみる。