ネット上ではたちまち大炎上
「ジャンボ宝くじ1枚も買えない!」
「コーヒー1杯も飲めないじゃないか」
「小学生の小遣いか」
「補償してもらった気がしない」
「ふざけてる。もう、笑うしかありません」
KDDIが「一律200円」を発表した直後から、ネット上には不満や憤りの書き込みが相次ぎ、たちまち炎上した。
KDDIは、かつて起こした通信障害で「一律700円」の補償をした「実績」があるだけに、「それ以上のレベルの補償をしてくれるだろう」と、密かに期待した向きは少なくなかったに違いない。
ところが、実際に示された数字は「一律200円」。利用者の思いとKDDIの算術は見事なまでにすれ違い、利用者のガッカリ感は半端ではなかったようだ。
通信障害が発生した7月初め、丸2日半の間、待てど暮らせど復旧せず、状況説明も二転三転し、全国のauショップにはイラ立った利用者が押しかけ、罵声が飛び交った。カスタマーセンターの電話回線はパンクしたという。
多くの利用者が、障害発生と補償発表の2度、ブチ切れたのである。
「一律200円で総額75億円」は純利益の1%
総額75億円の返金総額にも、かみついた。
「年間7000億円を超える純利益の1%ちょっとだよね」
「高額にみえるけど、はした金じゃないか」
「大企業にしては、やることがしょぼすぎる」
実際、KDDIの2022年3月期の決算は、連結売上高が5兆4467億円(前期比2.5%増)、連結営業利益は1兆606億円(前期比2.2%増)で、連結純利益は過去最高の7325億円(前期比3.7%増)を記録した。
菅義偉・前政権の「官製値下げ」をものともせず、21期連続増益を記録したのだ。
確かに、「一律200円で総額75億円」という数字は、純利益の1%。仮に「一律1000円」としても5%、375億円に過ぎない。「200円」が安すぎると憤慨しても、「1000円」だったら「そんなところか」と納得する人は少なくなかったかもしれない。
自ら招いたトラブルで利用者に空前絶後の不便を生じさせたのに、数字上で見れば、利用者から稼いだカネのほんの一部しか還元しないことになる。
超優良企業といえど、それもKDDIを支持する善良な顧客があってのこと。通信会社はすべての利用者と直接取引する特殊な企業だが、はたして、そこに思いが至っていたのかどうか。
障害発生直後から、高橋誠社長は進退問題も取り沙汰されたが、結局、報酬の20%を3カ月分返上することで落着。関連役員8人も、報酬の10%を1~3カ月分自主返納するだけにとどまった。
歴史に残る社会不安を引き起こしたのだから、辞任してもおかしくないし、報酬の返上も1年分というなら利用者の怒りが増幅することはなかったかもしれない。
補償額といい、責任問題といい、とても軽々しく映る。KDDI経営陣が、今回の「事件」を、その程度にしか見ていないということでもある。