1月13日、KDDIは「月額2480円・データ量20GB」の新料金プラン「povo」を発表した。先行するNTTドコモやソフトバンクは「月額2980円・データ量20GB」のプランを発表していたため、「業界最安値」と話題になった。だが、経済評論家の加谷珪一氏は「KDDIのプランは実質的には他社と同じ。そうだとすれば、わかりづらいだけKDDIは不利だ」という――。
オンライン発表会でKDDI(au)の新料金プランを説明するKDDIの高橋誠社長=2021年1月13日
写真=時事通信フォト
オンライン発表会でKDDI(au)の新料金プランを説明するKDDIの高橋誠社長=2021年1月13日

低価格プランの先陣を切ったドコモの「ahamo」

NTTドコモが新プラン「ahamo」を発表して以降、競合各社の動向が注目されていたが、ソフトバンクに続き、KDDIも新プランを表明したことで、主要3社の料金体系がすべて出揃った。この新プランの導入が、通信業界にどのような影響を与えるのか。

携帯電話料金の引き下げは菅政権の目玉政策のひとつであり、菅氏は通信行政を担当する総務大臣に腹心の武田良太氏を送り込むなど、相当な力の入れようだった。日本の通信料金は、かつては認可制だったが1996年には届け出制に移行、2004年には完全自由化されており、法律上は政府が料金について直接指示することはできない。

当初、通信各社は政府からの値引き要請に難色を示していたが、現実問題として強大な権力を持つ政府からの要請を拒絶するのは難しい。業界最大手のドコモが大幅な割安プラン「ahamo」を発表したことで、各社もそれに続くことになった。

ahamoの料金は20Gバイトで月額2980円となっており、この金額には1回あたり5分以内の無料通話分も含まれている。新規契約事務手数料や機種変更手数料、さらには番号移転手数料も無料である。

ドコモの従来プランはギガホとギガライトの2本立てだったが、ギガホの月額料金(定期契約なし)は30Gバイトで7150円、ギガホライトの料金は1Gバイトで3150円、7Gバイトで6150円であり、通話についてはどちらも30秒あたり20円の課金となっていた。従来の料金体系と比較してahamoが大幅に割安であり、かつ分かりやすい体系であることは明らかだ。

ahamoがあまりにも安い料金体系だったことから、競合他社にとってはahamoと同水準、あるいはそれを超えるプランを提示することがほぼ必須となってしまった。業界全体で安値合戦の消耗戦となるのは確実であり、市場では競合他社のプランがどれほど思い切ったものになるのかに注目があつまった。

このドコモのプランに最初に反応したのはソフトバンクである。