KDDIの解約率は12年第3四半期で0.58%。ドコモの0.80%、ソフトバンクの1.12%を抑えてトップとなっている。またMNPでは、11年10月から13年3月現在まで17カ月連続で首位を記録している。
月間の純増数では、ソフトバンクが圧倒的に強いが、同社はフォトフレームや子供用の「みまもりケータイ」など、通信料収入がほとんど見込めない端末をばらまくことによって、契約者数を稼いでいる。田中社長は「まだ、(他社のように)そこまで踏み込んではいない」として、新規の獲得よりも、他社からの流入と自社の維持に注力している。
家族4人なら2年で14万円割引
他社からの流入という点で絶大な効果が出ているのが12年2月にスタートさせた「auスマートバリュー」だ。これはKDDIのスマホ回線と提携するケーブルテレビなどの固定インターネット回線を組み合わせることで、スマホ1回線当たり月額1480円を値引きするというものだ。家族4人がKDDIのスマホにすれば、月額5920円、2年間で14万2080円の割引が受けられる。
固定回線とのセット契約を条件にすることで、これまであった「家族割」よりもわかりやすくなっている。家族を丸ごと囲い込むことを狙った販売施策だ。
またスマートバリューの割引を受けるには、固定インターネット回線の契約が高速なプランである必要がある。さらに、音声電話回線もケーブルテレビのサービスを利用しなくてはならない。つまり、スマホの通信料金は下がるが、ケーブルテレビ会社への支払いは増える可能性が高い。このため提携先である全国のケーブルテレビ会社も、KDDIの拡販を真剣に手伝ってくれるのだ。