1月28日の決算会見で、KDDIの田中孝司社長は、通期業績見通しの上方修正を発表。就任からの2年強を振り返りながら、「ちょっと底を打ったという感じ。絶好調というところまでいっているというわけではなく、地味にやってきた成果」と話した。
大きな成果の1つが通信料収入の増収だ。通信料収入とは通信料単価と契約件数を掛け合わせたもので、KDDIでは07年7~9月期から下落基調だったが、12年7~9月期からは反転している。背景にあるのは通信単価の下げ止まりと契約件数の急増だ。
なぜV字回復に成功したのか。その原動力としてわかりやすく語られるのは、11年10月のiPhoneの導入だ。それまで国内ではソフトバンクが独占販売していたが、KDDIが急遽参入。これにより、ソフトバンクの独走を止め、ドコモからユーザーを奪った。
しかし、KDDIにおけるiPhoneの販売比率は、iPhone5など新製品の発売時は6割程度にまで上昇することもあるが、実際は全体の約4割程度とされている。好調の理由はiPhoneだけで説明できるわけではない。
携帯電話会社の実力を図るうえでは様々な指標がある。よく知られているのは「純増数」だが、田中社長は「1番は解約率、2つ目がMNP(番号ポータビリティ制度による他社からの流入)、3つめに純増数と位置づけている」という。